日本は逆輸入文化……ニッポントルネードはそういう場所
── 日本は「逆輸入文化」と言われるように、海外で評価されると一気にブレイクすることが多々あります。バスケットは世界の方が知名度が高いわけですから、海外で評価されることで日本でバスケ人気が上がることは大いにあると思います。まさにNBAドラフトに名前が挙がれば、自ずと日本のバスケが盛り上がるという説はその通りだと思います。実際、田臥(勇太)選手がNBA入りした時は号外も出たくらいですから。
西田氏:それは否定できない日本の特徴です。島国で育った僕らは入ってくる情報だけが頼りであり、放牧民のように自分たちが出て行ってリサーチする国民性ではありません。だから、入って来たものを精査することが得意なのです。良いものや新しいもの、改善しなければいけないことは外国で行った方が近道です。そこで作られたもののクオリティを高めることは日本の得意分野でもあります。僕がなぜバスケットを持って海外へ出たかと言うと、まずNBAというのは絶大な力があります。NBAに近いとか、NBAだ、と説いた方が分かりやすいです。そうなれば日本で何かやるよりも、外に出て作った方が日本のためにも早いんです。バスケ選手ならばNBAを目指したり、高い志を持ってくれた方が良いだろうと思い、10年前、やみくもにアメリカに渡りました。そこで、日本人でもNBAに行けないことはない、という理由も分かりました。僕はできると思いますし、他の人でもできるというのが僕が得た結果です。絶対に海外に出ることが大事ですし、そこで評価されれば一番ですが、ダメでも実力さえあればbjリーグへトライできるという保険はつけているから大丈夫ですよ、というのがbjリーグと提携した理由でもあります。
── 海外へ挑戦するにあたり、やはり言葉の問題、渡航費や生活費等の金銭面の問題があり、日本人が一歩踏み出すにはいろんな労力や壁があるのも確かです。簡単に決断できる人も限られて来るとは思いますが、最大のメリットとは何ですか?
西田氏:その答えは、”百聞は一見にしかず”です。本を読んで知識や情報を得ても、もう一つ納得がいかないです。だから行って触れてみる。日本で満足できなかった選手がニッポントルネードをきっかけにアメリカへ行き、それまではプロになることさえ考えていなかった選手たちが今、bjリーグで活躍しています。僕が何かをしたわけではなく、選手自身が触れてみて、腑に落ちたのです。ニッポントルネードはそういう場所です。
最後に質問をした言葉の問題について西田さんは、もう一歩踏み込んだ活動をしている。昨年、トルネードアカデミーというスクールを設立。さらに今後はそのノウハウを持って全国展開を視野に入れている。そのニッポントルネードJrたち.が今、春休みを利用してシアトルへ武者修行へ旅だった。その模様はDREAM7のfacebookやブログ「ぼちぼちいこか」でご覧いただける。
そして、その中からアメリカの高校へ進学する選手も出始めるようであり、その結果、言葉の問題は全く関係なくなるわけだ。
先日、サッカー日本代表のディフェンダーであり、プレミアリーグで活躍する吉田麻也選手を紹介する書籍の中で、「海外でプレイしたいと思っていたので英語の授業だけは一生懸命勉強した」と書かれていた。西田さんも同じことを話している。
「バスケットをしていて、海外志向があれば、勝手に英語を勉強しています」。
NBAやDリーグのドラフトに日本人選手の名前が呼ばれることを実現するため、様々なカテゴリーからアクションを起こす西田さん。
バスケットはどうしたら楽しくなるんだろう?
バスケットに関わる全ての人が同じような疑問を持って取り組めば、自ずと夢舞台は作られるはずだ。
text by IZUMI