日本のストリートボールを語る上で、代々木公園のバスケットコートは決してスルーすることのできない “聖地” だ。2005年の誕生以来、目をギラつかせた若者がピックアップゲームに興じ、時には男女トップリーグの現役・OB・OG選手が訪れることもあったこのコートは、国内最高峰の5on5ストリートトーナメント・ALLDAYの会場として、多くのボーラーの憧れの舞台にもなっている。しかし、風雨に容赦なくさらされる屋外コートということもあり、17年という月日に抗うことはできず、この度リノベーションが実施された。
実施にあたってはクラウドファンディングで資金を募ったのだが、多方面のバスケットボール関係者による協力で、1000万円の設定額はたったの2日でクリア。新コートでのALLDAY開催に向けた500万円の追加目標もほどなくして達成し、最終的には1700万円を超える支援が集まった。このプロジェクトが、ストリートボールが地道に積み上げてきた様々な力や可能性を示すものとなったことは疑う余地もない。
今回のプロジェクトは、日本のストリートボール草創期からそのシーンを作り上げてきた9名が推進チームを結成して進められた。その中でも特に主導的役割を務めた秋葉直之は、ALLDAYプロデューサーであると同時に一般社団法人ピックアッププレイグラウンドの代表理事でもある。その法人は、日本全国の公園にあるバスケットコートを守るために、ピックアップゲームとコート周辺のゴミ拾いを行う「PICK UP PLAYGROUND」という活動を展開しているのだが、その活動が約1年前に始まったことが、今回のプロジェクトの契機にもなったという。
「老朽化が進んでいたので、何年も前からどこかのタイミングで修繕しようというのはあったんです。ただその機運がなかったんですが、PICK UP PLAYGROUNDの活動を立ち上げたというのがひとつあったんですよ。コロナ禍で体育館を使えなくなった人たちがストリートのコートにあふれたときに、ゴミもすごく増えたわけです。バスケットのコートは増えてはいるけど、その分課題も増えるというのは避けたかった。ここでもう一度モラルアップしていかないと問題も掛け算になると思ったし、それが次の未来につながると思ったんです。そうしてPICK UP PLAYGROUNDという起点ができたので、ここで代々木のコートも手を入れようということになったんですよ。PICK UP PLAYGROUNDの活動を始めたことで、公園側とも単なる利用者と管理者という関係ではなくなって、僕らの活動を認めてくれた。ALLDAYをやっているだけだったら、ここまでのことはできなかったと思います」