そのセルビアを破ったアメリカと、明日対戦する相手がカナダに決まった。
プエルトリコを<79-60>で下してのセミファイナル(準決勝)進出である。
圧倒したという感じではない。
しかしカナダのディフェンスは強度が高く、それでいて無駄なファウルをしない。
特にゲームの序盤、流れを作りたい場面ではそれが顕著だった。
それでいて相手にタフショットを打たせて、早い展開に持ち込み、一定のリードを奪えば、一転、ゲームを絶妙にコントロールしていく。
対戦相手も戦いづらかったに違いない。
プエルトリコの粘りももちろんあるが、常時20点差前後で推移していったのは、カナダのしたたかさといっていい。
しかし明日の対戦相手は、あのアメリカである。
一筋縄にはいかないだろう。
ただ何が起こるかわからないのもまた、スポーツのおもしろさである。
そのことは選手たちもよくわかっている。
「明日のゲームに明らかに興奮しています。アメリカは私たちにとって、いや、誰にとっても大きな挑戦です。彼女たちが世界一のチームであるのには理由があります。でもコートには私たち5人のプレーヤーがいて、彼女たちも5人のプレーヤーがいる。何だって起こるものです」
WNBAのミネソタ・リンクスでプレーするカナダのフォワード、ブリジット・カールトンはそう言っている。
後半の2試合は中国対フランスから始まった。
こちらは中国が<85-71>でフランスを下している。
ゲームが終わった瞬間に弾けた彼女たちの喜びは、近年アジアでも思ったような成績を残せず、世界でもメダルに届いていないことに起因するのだろう。
その間に、同じアジアの日本は東京2020オリンピックで銀メダルを獲得。
2017年以降、アジアゾーンに組み込まれたオーストラリアも2018年のワールドカップで銀メダルを獲得している。
かつてアジアの覇権を一手に握っていた中国としては、忸怩たる思いがあったに違いない。
ワールドカップでのベスト4は1994年以来のこと。
そのときはファイナルまで勝ち進んでいる。
しかも開催地は今回と同じオーストラリア。
この地には彼女たちを導く何かがあるのかもしれない。
最終戦では、2大会連続のセミファイナル進出を目指したベルギーがオーストラリアに<69-86>で敗れた。やはりエースのエマ・メッセマンを欠いたのが大きかった。
彼女はグループフェイズの4試合目、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で左足のふくらはぎを痛めている。
それがグループフェイズだけでなく、クォーターファイナルにまで影響するケガだったとは……。しかし彼女自身は目の前に置かれた状況をこう語っている。
「私はケガを受け入れました。ベンチで落ち込んで悲しくなったら、チームを助けることはできないと思います。ですから、私は別の役割を果たそうとしていたのです。モチベーションを上げたり、追加のコーチになってアドバイスを与えたりするようにしました。明らかにいつもとは違いましたが、 私もベンチから必要なことをたくさん学べたと思います」