序盤こそ、韓国も粘っていた。
3日目のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で37得点を挙げたカン・イスルはこの日も好調をキープし、3ポイントシュートを立て続けに決めて、流れを作っていた。
ベテランのパク・ヘジンも続き、アメリカに追いつく。
それが第1クォーター残り3分6秒の話である。
しかしそこからアメリカがディフェンスのギアをあげると、あっという間に点差が広がってしまった。
終わってみれば、アメリカは自国の記録だけでなく、女子ワールドカップの記録も更新する145得点をあげている。
しかも3ポイントシュートは10本だけ。
2ポイントシュートを75本打って52本を決めるという圧巻ぶりだった。
近年、「シュートの期待値」という言葉を頻繁に見かけるが、それが最も高いのはペイントエリア内、特にゴール近くのシュートである。
それをアメリカは40分間、狙い続けたわけである。
韓国は抑え込むことができなかった。
さて、日本である。
結論から書けば<53-67>でフランスに敗れた。
きょうも得点が伸びない。
2桁得点を挙げたのは宮崎早織だけ。
それも3ポイントシュートというより、彼女のスピードが生きた形だ。
ただ、それがフランスに大きなダメージを与えたかといえば、疑問符が付く。
宮崎と渡嘉敷来夢のピック&ダイブも有効だったが、それも大きなダメージを与えるには至らない。
フランスがよかったわけでもない。
むしろ今大会のフランスは洗練さに欠けている。
傍から見れば、隙は至る所にありそうなのだが、そこを突き切れなかった。
前回、フランスのことを「未完成」と書いたが、日本もまた未完成だったわけである。
成熟するにはもう少し時間がかかりそうだ。
それでも渡嘉敷が、相手とのコンタクトや、思いもかけないジャッジに悩まされながらも、リーダーとしての存在感を示せていたのは、明日以降につながる。
これまでも彼女のそうした成長には触れてきた。
しかし、真剣勝負のワールドカップでも自らを失うことなく、若い選手たちに声を掛け続ける姿勢は、かつて「野生児」と呼ばれていた彼女からは想像もできない。
「そこは意識してやろうって決めていたところです。やはりセルビア戦とカナダ戦の負けで、チーム内の雰囲気がちょっと良くないというか、ちょっと落ち気味だったんです。私としては、特に若い子たちには思い切ってやってほしい。そこで私が声かけを続けることが自分の経験を伝えていくことにもなるんじゃないかなって」