一方でプレーヤーの側は反省の弁が多くなる。
「自分たちのプレーができなかった」
「ノーマークを作られたり、そういったところを徹底できなかった」
そんな言葉がミックスゾーンやプレスカンファレンスルームから聞こえてくる。
それでもなお恩塚ヘッドコーチと同じように兆しを見出そうとすれば、たとえば第2クォーターに赤穂ひまわりが決めたバックダウンからのターンシュートはどうだろう。
中学時代から彼女のプレーを見ているが、彼女がドリブルをしながら、背中で相手を押し込んでいく「バックダウン」をするシーンはほとんど見たことがない。
それをワールドカップでやってみせるのだから、彼女の伸び代はまだまだ大きいんだなと改めて感じてしまう。
「バックダウンのプレーは、練習の中でも取り入れてきていたんです。世界に出てもミスマッチできると思うので、そこで攻めるためにやってきていて、あの場面でもベンチから『バックダウンでいいよ』って聞こえたので、そのままいった感じです。あの1本だけでしたけど、練習してきたことが出せたかなっていうのはあります」
その1本から広がる世界もあるはずだ。
第4クォーターに見せた宮崎早織から馬瓜ステファニーへのプッシュパスも、今後の兆しになっていい。
7点ビハインドの残り8分7秒、ボールを持った宮崎が前を走るステファニーを見た。
「ステファニーが目を合わしてくれてたし、相手が後ろを向いていたので、そのままカットされることはないなと思って……ステを信頼してパス出せてよかったなって思っています」
結果的にはフリースローによる1点しか奪えないのだが、日本の走る展開を生む上であのプレーはきっかけにしていい。
「ああやって走ってくれるところにどんどんパスを出していければ日本の速いバスケットが出せて、世界に通用するのかなって思うので、みんなでもっと頑張って走っていきたいなと思います」
この2試合、日本のポイントガードたちはやや苦しんでいるようにも見える。
そのなかにあって、宮崎が一足先にその笑顔を咲かせたことは、チームのみならず、他の2人のポイントガードに波及してくるのではないだろうか。
まだまだ1敗。
これを引きずらないことが、言うまでもなく、大事である。