掲げる “ワクワク” とは一体誰に向けたものなのだろう ──
6月18日(土)、19日(日)の両日におこなわれた「三井不動産カップ2022」。
女子日本代表は初戦を77-49で、2戦目も83-57で、これまで勝ったことのなかった ── といっても2試合だけだが ── 女子トルコ代表を下した。
最終スコアだけで見れば日本の“快勝”。
しかし結果以上に恩塚亨ヘッドコーチが標榜する “ワクワク” とは何かを、改めて感じさせる2試合となった。
初戦は第1Qから日本が圧倒した。
精度こそけっして高くはなかったが、途中出場の選手も含めて積極的に3ポイントシュートを打ち続け、一方でそれだけにならない攻撃の幅も披露した。
第1Qの最終盤に、筑波大学1年生の朝比奈あずさがスペースを見つけてドライブを決めたことは、日本のオフェンスコンセプトでもある「手間を省いて、期待値の高いシュートを打つ」ことが浸透してきている証拠でもある。
またトランジションオフェンスの “走り出し” も変わったように見えた。
走り出し、つまりはディフェンスからオフェンスへの、まさに切り替えの初動である。
以前よりも速くなって、かつ、その後のオフェンスへの展開もスムーズだった。
「走るトレーニングはしてきました」
恩塚コーチもそれについて言及している。
「強調してきたのは『目的意識を持って走ること』。でも、ただ走るのではなく、走り出しで勝負し、そこで勝つことによってその場の展開が有利になる。そうした目的意識を持って走ることが、走り出しの速さの要因になったのではないでしょうか」
自分たちのボールになった瞬間、素早く攻撃に移行する。
そのコンセプト自体はけっして目新しいものではない。
しかし、ややもすると「とにかく走リ出す」となりがちなところを ── それはそれでとても大事なことだが ── 女子日本代表はそこに「目的」も加えた。
何のために、どのように走り出すのか。
それを意識することで走り出しの反応スピードも上がる。
それが初戦の「相手ターンオーバーからの得点」が20点で、うち「ファストブレイクの得点」が15点という数字にも反映されたのだろう。