指揮官が交代しても「求められることをやる」姿勢に変わりはない
今年、長谷川(健志)さんからルカコーチに指揮官が代わったことについていろいろ聞かれることがありますが、自分としては『求められることをやる』だけで、そこに変化はありません。だいたい僕はヘッドコーチに対し、この人は(自分に)合うとか、この人は合わないとか感じたことは一度もなくて、何て言うんでしょうか、ヘッドコーチの指示をはね返してまで自分がやりたいことをやるなんて考えたことがないです。そういう『我』はまったくないですね。それに長谷川さんからルカコーチに代わっても共通していることはあるわけで、たとえばディフェンス一つを取っても『守り方』は変わってもやらなきゃならないものは同じです。すべてがガラッと変わったわけではなく、長谷川さんから学んだことはこのチームでも生きていると思います。
ルカコーチの指導
一言でいえばルカコーチの指導はものすごくわかりやすいです。この動きにはどういう目的があるのか、誰が責任を持ってやらなきゃいけないのかといった説明が一つひとつ明確で、それが『日本が勝つために我々はどのように戦っていかなければならないのか』というところに繋がり、みんながそれを理解し、納得して練習に臨めていると思います。新鮮で楽しいですね。ルカコーチのバスケットは全員が動き、ボールをシェアし、ピック&ロールを使って細かいプレーにつなげていくヨーロッパスタイルと言われますが、僕自身について言えば栃木ブレックスに移籍したとき同じようなスタイルのアンタナス・シレイカヘッドコーチの下でやってきた経験があるので慣れているというか、ルカコーチの指導はとてもわかりやすいです。リーグ戦の最中に行う短い合宿でも僅かな時間に得られることがたくさんあるなあと感じています。
自分にとっての日本代表
最初に言いましたが、この1、2年、代表メンバーに選出してもらっているのに活躍しきれていないという思いがありました。特に最大の大舞台だった昨年のOQT(オリンピック世界最終予選)では、足の不調もあって全然貢献できない悔しさ、不甲斐なさを味わいました。そのマイナスを今年は絶対取り戻したいです。役割の一つであるアウトサイドシュートはもちろんですが、まだまだ力不足のドリブルをつくプレーでもしっかりレベルアップして、流れが停滞したときこそ果敢に攻められる選手として存在感を示したいですね。ここ(日本代表)は自分がバスケットを始めたときから目指していた場所であり、毎年、毎年変わらない目標の場所でもあります。まずは最終メンバーに残って6月の東アジア選手権で自分のプレーを最大限に出しきり、その先のワールドカップ予選につなげていきたい。また、それとは別に僕には「東京オリンピックに出る」という大きな目標があるので、そのためにももっともっとレベルアップしたいと思いますね。2020年は32歳、選手として年齢的にはブリブリに脂が乗った歳だと思うので、プレーでも「ブリブリだな」と言われるよう頑張りたいです(笑)
文 松原貴実
写真 安井麻実