※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2017年5月末発行vol.9からの転載
リオデジャネイロ五輪から約9カ月。トム・ホーバスヘッドコーチ(HC)体制となり、34名からなる候補選手の選出で始まった今年度の女子日本代表は、第2次合宿を終えて16名に絞られた。4月下旬からはその16名でアメリカ遠征を行い、WNBAの3チームとスクリメージを行うなど、7月23日からの「FIBA ASIAカップ」に向けて、着々と準備を重ねている。ここではホーバスHCに、彼が求める日本代表のあり方、バスケットボール哲学、そして目標を聞いた。
── 最初に伺いたいのですが、リオ五輪の結果をホーバスHCはどう捉えていますか?
うーん、難しい質問だね。ちょっと残念という感じかな。8位はよかったよ。でもほかのチームを見ると、メダルを獲るチャンスはあったと思う。少しアンラッキーなところもあったね。ブラジルとトルコの試合は延長でブラジルが負けたでしょう? ブラジルは最後にすごく悪いバスケットをした。あの試合でブラジルが勝っていたら、日本はフランスに勝って、予選が2位通過だった。そういう意味でちょっとアンラッキーだったかな。でもそれは自分たちのせいでもある。トルコに対してはまったくいい試合ができなかったし、オーストラリア戦も16点差で勝っていて、残り8分で負けた。そう考えると8位は全然嬉しくない。もっともっとできると思ったよ。
── そこでは何が足りなかったのでしょう?
タフネスとフィジカルなプレーが足りなかったと思う。もっともっとぶつかっていってよかった。ビデオを見返して気づいたことだけど、ちょっと優しすぎた。もちろん選手たちはみんな、頑張っていたと思うよ。でも彼女たちの目標はメダルだったわけでしょう? メダルを獲るためにはそこが足りなかったと思う。
── だから第1次合宿から選手たちにタフさを求めているのですね。それが体現できれば、日本はメダルを獲るチャンスはありますか?
あります。当たり前だよ。僕はそう信じている。僕は5年前からそう思って、渡嘉敷(来夢)や大﨑(佑圭。旧姓・間宮)に「このメンバーならメダルを獲れる」って言っていたんだ。チャンスはあるよ。
── ホーバスHCのバスケットフィロソフィーは?
僕のフィロソフィーは、いいディフェンスをして、トランジションを出して、そこからスムーズで、速くて、頭を使ったオフェンス、つまりスマートなオフェンスに入ること。ディフェンス→リバウンド→トランジション→オフェンスとすべてにコネクション(連続性)がある。しかもそのコネクションがシームレス(縫い目がない)でなければいけない。つまりすべてのプレーが間断なく、一つの連続的な流れの中にあるバスケットだね。