6月29日、日本バスケットボール界にとって大きな意味を持つ1日となった、W杯アジア地区予選 window3 . この日の千葉ポートアリーナはファンのナショナルチームで埋め尽くされ、試合開始から試合終了のその瞬間まで、“日本のパワー”に溢れたアリーナだった。
日本は文字通り「崖っぷち」。
新たに、ニック・ファジーカスと八村塁をメンバーに加え挑むのは、今まで1度も勝利できたことがないアジア王者、オーストラリア。FIBAランク48 位の日本に対し、オーストラリアは10位。(2018.2.28現在のランキング)
格上相手にどんな戦いを見せるのか。
歴史に残るであろうこの一戦を、写真で振り返る。
(フォトグラファーあとがき)
崖っぷちの状況で迎え撃つは、FIBAランク【超】格上のオーストラリア代表。
オーストラリア代表には、現役NBA選手である、マシュー・デラベドーバとソン・メイカーがいる。
私がこの日シャッターを切っていて本当に胸がドキドキしたのは、オーストラリア代表の顔つきがみるみる変わっていったこと。
オーストラリアも、決して日本をナメてかかってはいなかったはず。しかし、日本の変化と進化を目の当たりにし、相当焦ったに違いない。
ピリオドを追うごとに顔つきは険しくなり、何がなんでも止めてやる、という鋭い瞳に溢れていた。
オーストラリア代表にそんな眼をさせ、ほんの数十秒の間しかリードを奪わせなかった日本代表チーム。オーストラリア勢の素晴らしい瞬間が多かったのは、日本が相手を“本気”にさせたからだ。
しっかりとボディーコンタクトをし、必死に走り込む選手たちはとても頼もしく、コートの中で“勝ち”を体現してくれた彼らを誇りに思う。
コート間際では体同士が当たる激しい音がし、汗が飛ぶ。
一つ一つのプレーを、これから何度も思い出すだろう。
この日の選手たちは、何かオーラを纏っているかのように見えた。
1人1人から発せられるパワーが、目に見えるようだった。
「これをやり続ければ、オーストラリアにも勝てる」
そう思う展開が第一ピリオドから崩れず、最終的に1点差まで詰め寄られるも殆どの時間でリードを奪われることなく、この日日本はオーストラリアにW杯予選初の黒星をつけた。
私は忘れない。
試合開始から試合終了のその瞬間まで、オーストラリアを追い詰め続けた日本応援団の大声援を。
Window1 よりも Window2 の方が大きく、Window2 よりも、この日。
過去に体験したことのないような“会場が揺れる”大声援が、どれほど選手の力になったか、私にははっきりとは分からない。
しかしこの日確かに感じたのは、選手・スタッフ・ファン・メディア、とにかく日本チームに関わる誰もが“一丸”となっていたことだろうか。
「日本一丸」
これがあれば、私たちは最強な気がしてくる。
文字通り「崖っぷち」だったはずの日本だが、日本時間7月2日に行われたアウェイのタイペイ戦において108-68で勝利し、W杯アジア地区予選、二次ラウンドへの進出を決めている。
これからも、彼らの輝く瞳を撮り続けていきたい。
この日の選手たちの表情を、想いを、たくさんの方が見て、感じて頂けますように。
千葉ポートアリーナでの開催ということで日本代表ユニフォームを着た、千葉ジェッツふなばしのマスコット、ジャンボくん(左)と、シーホース三河の公式風マスコットのタツヲ
文・写真 安井麻実