セミファイナルの中国戦に臨む女子日本代表。近年は勝っているが、今大会の中国は間違いなく、2年前より強くなっている。ディフェンスも最後まできっちりとおこなうし、メンタルのムラも少ない。倒すのはけっして簡単ではない。
19得点、14アシスト、8リバウンドの藤岡麻菜美。大会前は3番手のポイントガードだったが、大会が始まるとその才能を最大限に発揮。吉田亜沙美がケガのためにスタメン起用され、その期待に応えた。
ルーズボールに飛び込む宮澤夕貴。こうした細かなボールへの執着心がチームに一本の芯を通していく。宮澤は終盤にもリバウンドに絡み、攻守に渡って活躍した。
高田真希は毎試合、安定した力を発揮する。この日も35分プレイし、13得点、7リバウンド。吉田を欠いたチームでゲームキャプテンとして、精神的な支柱になった。
得点こそ2点に終わったが、ディフェンスやリバウンドでつなぎの役割を果たした河村美幸。輝かしい結果を残すだけが勝利への貢献ではない。
同点で折り返した後半。チームが1つになって、残りの20分に臨む。輪の中心にいるのは試合に出られないキャプテンの吉田亜沙美だった。
後半開始早々、3ポイントシュートを沈めた長岡萌映子。前半無得点に終わっただけに、後半しっかりと気持ちを立て直して、スコアラーとしてゴールに向かい続けた。前半チームで0本だった3ポイントシュートの、反撃の口火を切ったシュートでもある。
ケガのため試合に出られなかった吉田亜沙美は、さまざまな思いを抱えながらもキャプテンとして、ベンチからチームメイトを鼓舞し続けた。
競り合いの続いた終盤、藤岡麻菜美の3ポイントシュートで沸くベンチ。こうした明るさがチームの勢いをさらに加速させる。
ベンチスタートながらPG、もしくはSGとして貴重な働きをした町田瑠唯。第4Q、9点ビハインドの場面で町田のリバウンド争いからルーズボールを日本のボールにした。そこからゲームの流れは大きく日本に動いた。
決勝の3ポイントシュートを打つ宮澤夕貴。リオデジャネイロ五輪まで12番目の選手だった彼女が、この大一番で、最も重要なショットを打ち、決めた。日本が進化し続ける証とも言えるシュート。
残り1分を切った、どちらのチームも疲労が溜まっておかしくない時間帯に長岡萌映子がリバウンドに飛び込み、セカンドチャンスをゲット。これも試合を大きな影響を与えたプレイの1つ。
勝った瞬間、トム・ホーバスヘッドコーチはベンチの高橋雅弘チームリーダーと向き合って、ガッツポーズ。厳しく、細かくチームを鍛えてきた指揮官も興奮を隠しきれない勝利だった。
試合後、コート中央で円陣を組む女子日本代表。この前後に何人もの選手が抱き合って、喜んでいた。明日の決勝戦ももちろんあるが、時計の針が頂点を超すまでは喜びをしっかりと味わいたい。
試合後、FIBAのカメラマンの(?)要望で集合写真を撮った日本代表。いい笑顔を明日の決勝戦のあとにも見たい。
文・写真 三上 太