「ミッションは 4 年後の東京オリンピックに向けた日本代表の強化と、それ以降に世界で活躍する若い世代の選手たちの育成です」──5月19日(木)、公益財団法人 日本バスケットボール協会(JBA)会議室で行われた『技術委員長 就任記者会見』で、東野氏は力強くこうコメントした。
長年、東野氏が研究テーマとして取り組んだのは世界の強豪国のひとつ、アルゼンチンのバスケットボール。同国男子ナショナルチームはアテネオリンピック(2004年)で金メダルを獲得し、北京オリンピック(2008年)では銅メダル。続くロンドンオリンピック(2012年)でも4位入賞を果たしている。
かつてはオリンピック出場もままならなかったアルゼンチンが、“世界を相手に戦える”ようになったことに着目し、その強化・育成のプロセス等を調べてまとめ上げた東野氏の論文は、『2011年度早稲田大学最優秀論文賞受賞』。また、アカデミックなアプローチだけではなく、コーチとして現場に立ち、さまざまなキャリアを積み重ねたことが、今回の技術委員会委員長就任につながったと言えるだろう。
当日の記者会見には川淵三郎JBA会長も登壇し、東野氏への期待とともにバックアップを明言した。両氏のコメント(抜粋)および、東野氏の経歴は以下の通り。
川淵 三郎 会長
「長い間、関係者間で検討を重ねてきた技術委員長について、東野智弥さんを迎えて発表できることをうれしく思います。東野さんは、その経歴を見てもわかるとおり、非常に経験豊かな方です。指導者としてももちろんですが、日本と身体的特徴が近いアルゼンチンの強化・育成に関心をもち、男子のアルゼンチン代表が世界的強豪国になる過程について研究をされてきた実績もあります。そういった世界的な視野をもって、子どもから大人まで、日本のバスケットボール全体の発展につなげるためには、彼以外の人選はなかったと確信しています。
日本代表がどのような姿を目指すのかについて、今後リーダーシップを発揮していただくことになりますが、これまででは考えられなかったようなアイデアを含め、どんどん新しい提案をし、また実行してほしいと思います。我々、日本協会として、それを全面的にバックアップしていきます」
※契約は2016年6月1日からの5年間。
東野 智弥 氏
「この度、JBA の技術委員長を拝命することになりました。日本のバスケットボール界の発展に微力ながら貢献できるという喜びを感じるとともに、その重責にあらためて身の引き締まる思いです。私のミッションは 4 年後の東京オリンピックに向けた日本代表の強化と、それ以降に世界で活躍する若い世代の選手たちの育成です。これまでに経験し学んできたこと、そしてこれから学ぶことを最大限に生かしつつ、また各現場の関係者の皆さんと十分なコミュニケーションを図りながら、日本代表チーム『AKATSUKI FIVE』を頂点とする、日本のバスケットボール界が一致団結した強化・育成の流れを構築していきます。
いま日本のバスケットボール界は、大きな発展のチャンスを得ています。一人の力には限りがあるかもしれませんが、みんなで力を合わせれば何事も成し遂げられると信じています。カテゴリーを問わず、皆さんが愛するバスケットボールの楽しさをより感じられるような環境をつくり、そしてトップレベルでは世界の強豪国に立ち向かってオリンピックでメダルを獲得するという夢を実現させるために、一歩ずつ着実に進んでいきたいと思います」
氏 名/東野 智弥 (ひがしの ともや)
生年月日/1970 年9月9日(45 歳)
出 身 地/石川県
出 身 校/早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科
(トップスポーツマネジメント コース/コーチング コース)
コーチ資格/JBA 公認B級コーチ JOC ナショナル・コーチ・アカデミー修了
【競技歴】 期間 所属 主な戦績等
1986- 北陸高校(1988年インターハイ優勝、1987年・1988年高校選抜優勝大会 3大会連続 2位
1989- 早稲田大学(関東学生リーグ1部/2部 全日本大学選手権大会出場)
1993-1995 アンフィニ東京 (現:埼玉ブロンコス) 全日本実業団選手権大会2位
【指導歴】 期間 所属 役職 主な戦績等
1996-1998 ルイス&クラーク大学アシスタントコーチ(NAIAトーナメントベスト8)
1998-1999 三井生命ファルコンズ アシスタントコーチ
1999-2001 エネミクロス・メディカルセンター スポーツコーディネーター
1999-2001 所沢ブロンコス(日本リーグ2部) ヘッドコーチ
1999-2001 早稲田大学 男子部 コーチ
1999-2008 車椅子バスケットボール男子日本代表アシスタントコーチ アドバイザーコーチ
2001-2004 トヨタ自動車アルバルク(スーパーリーグ)アシスタントコーチ(2001-02シーズン優勝)
2004-2006 男子日本代表 アシスタントコーチ(2006年@埼玉 FIBA 世界選手権20位)
2004 第4回 FIBAアジアヤングメン選手権 男子U-20日本代表アシスタントコーチ(13 位)
2007-2010 レラカムイ北海道(JBL) ヘッドコーチ
2010-2012 男子日本代表 コーチ
2012 ミルウォーキー・バックス (NBA サマーリーグ)アシスタントコーチ
2013-2016 車椅子バスケットボール男子日本代表 戦略コーチ
2013-2016 浜松・東三河フェニックス(bjリーグ) ヘッドコーチ(2014-15 シーズン優勝)
2016年5月28日:追記 お詫びと訂正
初出時、記事タイトルで以下の箇所に記載ミスがありましたので、修正しました。
読者の皆様、ならびに関係者の皆様に深くお詫びし、ここに訂正をさせていただきます。
正「東野 智弥氏」
誤「東野 智也氏」