アジア選手権では実に6年ぶりの中国戦勝利である。女子バスケのアジア選手権5日目、日本は中国を【62-55】で破り、無傷の5連勝で予選リーグを1位で通過した。その最大の立役者は「日本の至宝」、192センチの渡嘉敷来夢である。
「前半4得点しか取れていなくて、自分は何をしているんだろう、このままでは終われないって思っていました。後半相手が疲れてきたときに、自分も体力はないんですけど、体力勝負だって自分に言い聞かせていたし、チームメイトも自分を信じて戦ってくれていると思っているので、自分がやらないとって思って、積極的に得点を取りに行きました」
その結果、全20得点中、第4ピリオドだけで12得点を挙げている。
得点だけではない。日本が国際大会で勝つためには常にリバウンドへの不安がつきまとうが、そのリバウンドでも両チームトップの12本をもぎ取っている。
「日本の速い展開のバスケットはリバウンドを取ってこそだと思っています。ディフェンスリバウンドをとって初めてオフェンスに移れるわけだし、オフェンスリバウンドを取ることでチームメイトもシュートが打ちやすくなる。国内では身長が一番高いのでリバウンドも楽々取れますけど、世界に出て自分が小さくなったときは気持ちが大事なのかなって思っていたんです。だから今大会も積極的に飛び込んでいくことを意識しています」
そのリバウンドへの高い意識が、個人の数字以上にチームの中国戦勝利という最大の結果をもたらしたわけである。
高校時代から期待をされながらもケガに泣き続け、苦しいリハビリを幾度となく重ねてきた渡嘉敷。その渡嘉敷がついに万全の状態でアジア選手権のコートに立ち、そのヴェールを脱いだのである。
「今大会は初戦から得点を取りにいっています。特に周りの得点が伸びていないときに自分が得点を取る責任が芽生えるようにもなりました。先日の東アジア競技大会でチャイニーズ・タイペイに負けたとき、もうちょっと自分が頑張れたら結果も違っていたのかなって思ったところから、そう考えるようになったんです。内海(知秀)ヘッドコーチからの期待も大きいし、応援してくれるファンの方々も期待してくれているので、それに応えたいという気持ちが力になっています」
東アジア競技大会で負けたことはけっして損ではなかった。チームメイト、スタッフ、そして家族を含めたファン――自分を信じ、支え、応援してくれる人たちの期待に応えるべく戦うことを渡嘉敷に気づかせてくれたのだから。日本の至宝、渡嘉敷来夢がアジア選手権で覚醒している。
女子日本代表のアジア選手権・予選ラウンド対戦スケジュール
10月27日(日)日本 94-59 カザフスタン
10月28日(月)日本 69-57 チャイニーズ・タイペイ
10月29日(火)日本 78(OT)71 韓国
10月30日(水)日本 81-40 対インド
10月31日(木)日本 62-55 中国
11月2日(土)準決勝
11月3日(日)決勝
*すべてタイ時間。日本との時差:マイナス2時間。例)日本22時=タイ20時
JBA:第25回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会特設サイト
FIBA ASIA:第25回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権大会サイト(英語)
フジテレビNEXT:TV放送スケジュール
文・三上太