51点差で快勝スタートとなった女子日本代表のFIBAアジアカップ2017。自身もヘッドコーチとして初の大会となるトム・ホーバスヘッドコーチも「明日以降のゲームのことを考えると、スタメンを少し休ませたいと考えていた。それができてよかった」と、初戦の快勝にホッと息をついた感じだ。
主力のあとを受けてコートに立ったベンチメンバーは、前半こそディフェンスの緩さやリバウンドの甘さなどが出て、フィリピンに追い上げられるシーンもあったが、後半は持ち直すことができた。106-55は、大会の初戦としては上々と言っていいだろう。
しかしこのゲームで乗り切れなかった選手もいる。水島沙紀である。アタックすればオフェンスファウル、先頭を切った速攻ではレイバックシュートをミス、滑る床に何度も転ばされ、挙げ句、第3Qに4つ目のファウルを犯し、自らの首を絞めた。
「乗り切れませんでした……不完全燃焼です」
水島は試合をそう振り返る。
彼女自身、高校2年生のときに出場したU-18アジア選手権以来となる、アジアの大会。フル代表としては、もちろん初の国際大会である。緊張がなかったわけではないが、それ以上にアジアの“強さ”に戸惑った。むろん海外遠征などを通じて、欧米の国々と対戦し、フィジカルの強さは経験済みだ。しかし欧米のそれと、アジアのそれは質が違う。いや、端的に言えば、アジアのそれは欧米に比べて弱い。弱いながらもガチガチと体をぶつけてくる。
「それに対して全力で向き合ってしまいました。もっと賢くプレイできればよかったです」
全力でやろうと力を入れすぎたことで、滑る床にもうまく対応できず、彼女らしいキレのあるアタックも、3ポイントシュートも生み出せなかった。
今大会のみならず、2020年の東京オリンピックに向けて、水島自身にとっては初戦から勢いに乗りたいと考えていた。その考えとは少し違うスタートとなったが、この経験は明日の韓国戦以降につながっていく。
「床の滑る感じや大会の雰囲気もつかめてきました。これから韓国、オーストラリアと続くので、そこに生かしていきたい。ホント、慣れることができたのはよかったです」
個人的には悔いの残る初戦となったが、水島沙紀のアジアカップはここから上げていくだけだ。
文・写真 三上 太