男子・明成が逆転勝利で2連覇達成、女子・桜花が3連覇(2年連続高校三冠)で幕を閉じた『JX-ENEOS ウインターカップ2014』。新聞各紙やWEBニュースなどで速報、詳報が伝えられ、多くの人が感動を共有したことだろう。
インタビュー記事やコメントの数々で、試合の流れや喜びの声、悔しい思いが伝わるが、コートエンドに並んだたくさんのフォトグラファーたちが、その一瞬を切り撮っている。記者席よりも選手たちの近いカメラエリアで、果たしてどんな思いを抱いているのだろうか? 「この1枚」をコメントとともに紹介しよう。
【男子決勝戦】
第4P残り44秒、スコアはタイ。福大大濠の#8牧 隼人は「ダンクに行くつもりだった」という。この場面で果敢にオフェンスを買って出た彼の“メンタルの強さ”はさすがと言う他なく、しかもアウトサイドからのジャンパーではなく、リングにアタックしてダンクとは、どこまで強いのだろうか。
だが、彼のショットは明成の#8八村 塁にブロックされてしまう。ダンクも、そしてブロックも完全にリングより高い位置での攻防。高校生たちが躍動するウインターカップ、そのファイナルの舞台で……。
逆サイドでカメラを構えていたため、彼ら2人のプレイは後方からのショットになってしまった。が、高校バスケにとどまらず、日本バスケ界のエポックメイキングな1カットだと思う。
【女子決勝戦】
彼女たちはずっと“笑顔”で戦ってきた。
第4P残り4分23秒、笑顔でハドルを組む桜花の選手たち。余裕の試合展開にプレイが楽しくて仕方ない、というわけではないだろう。インサイドで昭和の“エース”#12赤穂さくらと渡りあった1年生センター#15馬瓜ステファニーが、5ファウルで退場してしまった場面だ。リードは18点。井上HCをして「代わりがいない」と言わしめる存在を失ってしまい、ここからは決して楽な展開とはならないはずだ。
勢いは昭和がつかみつつあった。インターハイ、そして昨年の雪辱を期す相手はなりふり構わぬプレイで襲いかかってくる。激しいプレスによりボール運びでミスを連発する桜花。警戒していた赤穂姉妹(さくら、#8ひまわり)にシュートを決められみるみる点差は縮まった。しかし、最後まで粘り強く戦い、ついに逆転は許さなかった。
メンタル的に「例年より弱い」(井上HC)と言われていたが、2年連続の高校三冠達成。優勝を義務づけられたプレッシャーと闘い、偉大な先輩たちと比較されながら辿りついた栄冠だ。彼女たちが手にした強さが、この写真の笑顔の中にある気がする。
Photo & Text by Munehiko Yoshida
- 男子決勝:明成 ○ 71-69 ● 福岡大学附属大濠
- 男子3位決定戦: 船橋市立船橋 ○ 97-84 ● 桜丘
- 男子大会結果
優 勝:明成(2年連続3回目)
準優勝:福岡大学附属大濠
3 位:船橋市立船橋
4 位:桜丘 - 男子ベスト5
#6 納見 悠仁(明成 2年)
#8 八村 塁(明成 2年) ※2年連続2回目
#13 津山 尚大(福岡大学附属大濠 3年)
#8 杉田 涼(船橋市立船橋 3年)
#10 モッチ ラミーン(桜丘 2年) - 女子決勝 桜花学園 ○ 72-67 ● 昭和学院
- 女子3位決定戦 聖カタリナ女子 ○ 71-47 ● 安城学園
- 女子大会結果
優 勝:桜花学園(3年連続20回目)
準優勝:昭和学院
3 位:聖カタリナ女子
4 位:安城学園 - 女子ベスト5
#4 高辻 真子(桜花学園 3年)
#7 加藤 優希(桜花学園 3年)
#12 赤穂 さくら(昭和学院 3年) ※43回大会に続き2回目
#7 篠原 華実(聖カタリナ女子3年)
#5 アイメレク モニィーク(安城学園 3年)