聖夜(クリスマス)が終わると、ウインターカップはいよいよ佳境。女子はベスト8、男子は16チームに絞られ、これまで以上の熱い戦いが繰り広げられる。会場の東京体育館には大観衆が詰めかけ、ますますボルテージが上がっていく。
女子組み合わせ
桜花学園‐県立四日市商業
東京成徳大学‐聖カタリナ女子
安城学園‐八雲学園
福岡大学附属若葉‐昭和学院
1回戦(対県立郡山商業:84‐83)、2回戦(対県立湯沢翔北:85‐74)と2試合続けて逆転勝ちを収めた県立足羽をまったく寄せ付けなかった優勝候補No.1の桜花学園。110‐58で大勝した。
県立四日市商業は、逆転勝ち(対就実:64‐62)で勝ち上がってきた明秀学園日立と対戦した。前半からリードを奪うと80‐63で勝ち、桜花学園に挑戦する。
安定した戦いを見せる安城学園は前橋市立前橋との対戦でも危なげない勝利(71‐51)。チームを率いるのは筑波大から名門・NKKで活躍した金子寛治コーチ。就任14年目で頂点を目指す。
5年ぶり2度目の出場となった八雲学園は粘り強い戦いを見せ、第4Pで山村学園を振り切った。2回戦では103‐60(対県立米子南)と高得点を叩き出した山村学園だったが、最終盤の失速が悔やまれる。
打倒! 桜花学園に燃える昭和学院は好調さを維持している。昨年、準決勝で敗れた岐阜女子に対して72‐57と見事リベンジ。17回大会(1987年)以来となる、6度目の優勝を狙う。
男子組み合わせ
福岡大学付属大濠‐聖和学園
県立能代工業‐東海大学付属第四
尽誠学園‐県立豊浦
報徳学園‐船橋市立船橋
桜丘‐東海大学付属第三
福岡第一‐土浦日本大学
帝京長岡‐北陸
県立山形南‐明成
インターハイを制した福岡大学付属大濠は、明徳義塾の高さに苦しみ、終始リードを許す展開。第4P終盤でようやく逆転すると、68‐66で何とか逃げ切った。県立能代工業は昨年の1回戦敗退という悔しさを糧に3回戦へ。下馬評では東海大学付属第四が有利と見られているが、名門の復活のきっかけとなるかどうか注目される。
エース角野亮伍を擁する藤枝明誠は、昨年以上の成績(4位)を目指していたが、尽誠学園に65‐69で敗れた。その尽誠学園は勢いを増し、桐生第一を91‐69の大差で破った。対する県立豊浦は59‐47で県立川内に勝って、昨年3位の京北と対戦。第1Pにスパークし29‐12でリードを奪うと、またもロースコアの試合(64‐57)をものにした。
初出場の報徳学園が3回戦に駒を進めた。1回戦はアレセイア湘南に87‐84で勝利し、2回戦では県立城東に対して100点ゲーム(100‐57)を演じた。その報徳学園と対戦するのが船橋市立船橋。洛南に先行を許すものの、第4Pは33‐13と圧倒して逆転勝利を収めた。
2回戦で104点(対県立岡山工業)を挙げた桜丘と、92‐48(対光泉)で圧勝した東海大学付属第三の対戦は実力伯仲の好カードだ。
3年ぶりの出場となる福岡第一は、八王子学園八王子との2回戦は1点差で何とか逃げ切った。名門・土浦日本大学と対戦する3回戦は予断を許さず、このブロックの4チームは激戦を勝ち抜かなければならない。
新潟商業の牙城を崩し、初出場を勝ち取った帝京長岡は、インターハイに続くベスト8入りを狙う。対戦相手の北陸も虎視眈々と上位を狙う強豪のひとつ。ここで勝利したチームが明成への挑戦権を得る。
連覇を狙う明成だが、インターハイのリベンジという意識があるだろう。インターハイは主力を欠いたが、今回は万全のチーム状態。まずは県立山形南、その次は帝京長岡‐北陸の勝者の挑戦を受ける。ただし、あくまで自分たちも“チャレンジャー”という意識で1試合1試合を戦っていくはずだ。
チャレンジャー──この言葉は、ここに記したチーム・プレイヤーが心に刻んでいるはずだ。たとえ優勝候補と評されていても、一発勝負は怖い。少しでも気を抜けばやられるし、少しでも良いリズムを引き寄せれば番狂わせも……ここからの対戦においては「番狂わせ」という表現があてはまるのかどうかわからない。クリスマスにやって来たのは天使で、次は“勝利の女神”だ。ほほ笑む瞬間を逃さずつかんだチームが頂点に立つ。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。