1月17日(土)、18日(日)の2日間にわたって開催された「NBL ALL-STAR GAME 2014-2015 in TOKYO」には多くのバスケファンが集まった。
今回のプログラムの中で、最も観客を沸かせたのは「高校選抜 DREAM GAME」だったかも知れない。昨年末のウインターカップを大いに盛り上げた選手たち、高校バスケ界の精鋭たちが集結したこの試合は目を見張るプレイが飛び出し、豊かな才能を改めて印象づけた。
両チームの指揮を執ったのは、EAST・折茂武彦ヘッドコーチ(レバンガ北海道)と、WEST・佐古賢一ヘッドコーチ(広島ドラゴンフライズHC)。試合後、彼らにコメントを求めた。
「楽しかったですよ。レベルは高かったし、今の高校生の試合はあまり観たことがなかったけど面白かった。これからが楽しみな選手がたくさんいます」(折茂武彦HC)
「スキルはしっかりして上手だし、将来性を感じさせてくれる選手たちです。ビックリするようなプレイもあったし、ベンチに居ても楽しかったですね」(佐古賢一HC)
“選ばれし者たち”は、スーパースターのHCコンビが自分たちの高校時代を振り返りつつも、レベルの高さ、凄さを認めたものだった。彼らの進路は「プロでの活躍を実現」させようとしている選手や、「アメリカ留学を経てNBA入り」を公言する選手、強豪大学でステップアップを目指す選手など、誰もがより高いレベルでの飛躍を誓っている。
「楽しかったです。ウインターカップよりは気が楽でした。ウインターカップ、オールジャパンでは悔しい思いをしましたが、今度は今回の楽しかった思いを胸にプロで頑張ります」(WEST#5津山尚太:福岡大大濠)プロっぽいプレイだったよ、という問いかけに笑顔で答えてくれた。
「レベルの高い試合でプレイができ、良い経験になりました。U-18は候補までで代表にはなれませんでした。相手チームにはU-18日本代表として活躍した選手がいますから、自分はより強気のプレイで行こうと思っていました。大学に進学したらフィジカルを強くして、ガードとしての役割をしっかり果たせるように頑張りたいと思います」(WEST#6中村功平:県立豊浦)U-18ではメンバー入りできなかった悔しさを聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。
中にはウインターカップ初出場の高校から選出された選手もいた。
「メンバーに選ばれたのは何かの間違いじゃないかと思って信じられなかったです。周りが有名な選手ばっかりだったので、自分はやれるところまで頑張ろうと思っていました。1対1とかをアピールし、思い切ってプレイできたと思います。大学進学後もバスケを続けますが、(今回の経験は)自信になった面と周り選手の凄さに圧倒された面と両方です。ドリブルもパスもシュートも、すべての面で劣っているので、追いつけるように頑張ります!」(WEST#9金 起鉉:報徳学園)
少年よ、大志を抱け──
出場した選手たちは、間違いなく抱いているだろう。が、本当にこの言葉伝えたいのは、今回出場していない同世代の選手たちである。選ばれた彼らは、現時点では一歩先を走っている。しかしながら、遅れを取ったと考える必要はないし、勝負はこれから。
大先輩のスーパースターたちのコメントは、こう続いていた。
「大事なのは今後、今の自分にどう肉づけをしていくかなんです。このレベルまでなれる選手は他にもたくさんいます。“特別”な選手になるかどうかは、これから先のこと。肉づけの仕方を間違うと、普通の選手で終わってしまうかも知れない」
佐古HCの表現は独特でわかりやすかった。オールスターに選ばれた選手たちには、ここで気を緩めないようにという戒めであり、選ばれていない選手たちへのエールである。
もう一人、次の出番に備えていた、NBLオールスターTEAM EASTの北卓也ヘッドコーチにも聞いてみた。
「凄い選手たちですよ。でも、肝心なのはこれから。私自身、大学入学後はそれほど高い評価を受けていたわけではありません。ただ、本気で上を目指そうと思ったら、自分の力を信じて一生懸命頑張るしかない。高校生まで(部活)なら顧問の先生やコーチが指導してくれますが、大学やそれ以上になれば、自己管理と自己鍛錬が求められますから。まだまだどうなるかはわかりませんよ」
「高校選抜 DREAM GAME」の試合を観て、凄いなぁ、面白いなぁと単純に喜んでいたが、現場を預かる先駆者たちの目は厳しかったし、優しかった。そして責任を背負っていた。(『NBLオールスターゲーム ヒーローインタビュー 〜全ては日本のバスケを盛り上げるために〜』参照)
ガンバレ! 全国の高校生プレイヤーたち。明るいバスケの未来を託すのに十分な選手たちが育っているのは間違いない。日本のバスケ界の本当の勝負はこれからだ!!
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。