第3戦へともつれ込んだ、NBLウェスタンカンファレンス・ファイナルは、和歌山がアイシン三河を73-59で破り、FINAL進出を決めた。
第1Pはアイシン三河が先行する。#32桜木、#3柏木が立て続けにシュートを決めて8-3。和歌山の3点は#9川村の3ポイントによるものだった。第1戦33点、第2戦34点と絶好調の川村。自分たちの攻撃が3本続けて失敗に終わった直後、挨拶がわりの1本だった。和歌山は先行を許すものの、チーム全体は落ち着いていたように見える。川村からのアシストを受けた#3パーカーが確実にゴールを決め、9-8と逆転に成功。その後、一進一退の攻防が続き、18-15とアイシン三河がリードして第2Pへ。
第2Pも同じような展開が続き、何度か逆転はあったものの点差は4点以内。アイシン三河のペースのようにも感じられたが、スコアは和歌山38-34アイシン三河。前半終了時点のスタッツを見て気になったのは、アイシン三河#6比江島、#0橋本の3ファウルと、桜木のプレータイム20分(16得点、6リバウンド)。
比江島は言うまでのなく、キープレイヤー。橋本はディフェンスでプレッシャーを掛け、相手のリズムを崩すのが得意だが、そこが機能しなくなる。桜木は体力を消耗するだろう。
一方、和歌山では川村の3アシスト(9得点)、#7リカートの5リバウンド(すべてディフェンス)だ。
「1、2戦は自分にボールが集まり、得点チャンスが多かったが、今日のゲームはボールをシェアして、和歌山らしく全員で戦おうと、選手たちで話し合っていた」(川村選手)という狙い通りの展開だった。パーカー、リカート、青野はインサイドを制圧した。
和歌山は前半だけでフリースローを12本得、10本を成功させた。やはり、落ち着いてゲームをコントロールしていたのは和歌山だったのだろう。
試合後の記者会見でジェリコHCは記者の質問に答えて「重たいゲーム!? 確かにスコアは伸びていなかったが、この展開を望んだのはむしろ我々のほうで、それが上手くできた」とコメントした。
第3P、開始1分半を過ぎたところでパーカーが桜木のシュートをブロック、直後に比江島が4つ目のファウルを犯してしまう。#3柏木のミドルシュートで38-40と2点差にしたが、その後は連続7失点。頼みの桜木のシュートも決まらず、47-38とリードを許してしまった。その間、和歌山はリカートが4ファウルとなったがベンチには下げず、ゾーンディフェンスを織り交ぜながらリードを保ち、59-51で最終ピリオドを迎えた。
その第4P、比江島はベンチに座ったまま。アイシン三河は柏木の3Pなどで追い上げを図るが和歌山も#1木下が大事なところで3Pを決め、残り2分を切って65-56と和歌山リードは変わらない。その後、ファウルゲームで勝負にでたアイシン三河だったが局面を打開する力は残っていなかった。
試合後、ジェリコHCは、「1年目のチームにとって、歴史的な勝利。選手、球団、ファンの皆さんにおめでとうと言いたい。これは皆で勝ち取ったもの。パーカーの得点、川村のアシスト、リカートのリバウンドといった目に見える数字だけでなく、木下の3P、内海のシュート、中務や青野のディフェンス……ベンチの選手たちも含め、チーム全体で頑張ったからこそ手にした結果だ」と笑みを浮かべた。東芝戦への抱負を述べた後、記者会見に同席していたキャプテン永山を見て、「彼は引退を諦め、またプレイを続けることにしたようだ」とリップサービス!?
続けて川村も、「マコさん(永山選手)の引退はボクにとっては大きなこと。まだリーグのファイナルに行ったことがないというマコさんを、何としてもファイナルの舞台へ連れて行きたかったし、このチームで優勝したい。アイシンファンの方に声を掛けられましたが、西の代表として頑張ります!」とコメントした。
当の永山はファイナル(ラストゲームへ向けて)のことを聞かれると、 「今はこの喜びに浸って少し休みたい。それからファイナルのことを考えます」と笑顔を見せた。引退を決意したシーズンに、最高の舞台が待っている。
両カンファレンスの1位同士の対戦が決まったFINALは来週から。大勢のファンで超満員の代々木第二体育館でのゲームが楽しみだ。
NBLプレーオフ ファイナル@代々木第二体育館
- GAME1:5月21日(水)19:00 東芝神奈川 vs 和歌山
- GAME2:5月22日(木)19:00 東芝神奈川 vs 和歌山
- GAME3:5月24日(土)15:00 東芝神奈川 vs 和歌山
- GAME4:5月25日(日)15:00 東芝神奈川 vs 和歌山
- GAME5:5月26日(月)19:00 東芝神奈川 vs 和歌山
5戦3先勝方式のため、GAME4以降は開催されない場合あり
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。