昨シーズン、下部リーグのJBL2を主戦場としていた兵庫ストークスとつくばロボッツの前身であるデイトリックつくば。NBL発足とともに今シーズンよりトップリーグに参戦。
昨日と本日4月11日(金)、つくばのホームで今シーズン最後の直接対決が行われている。昨日は兵庫が4Qにオールコートプレスから逆転し、84-77で勝利をつかみ23連敗後の2連勝。直接対決は3勝2敗で兵庫が勝ち越し中。
しかし、通算成績はともに現在8勝41敗と苦しいファーストシーズンとなった。
昨シーズン、女子WJBLが1リーグ制となり、下部のW1リーグを含めた12チーム体制へと変貌を遂げた。しかし、上位チームと下位チームのレベルの差が大きく、痛々しい試合も多くあった。
昨シーズンと今シーズン、上位4チーム(今シーズン:JX-ENEOS、トヨタ、デンソー、富士通、昨シーズン:JX-ENEOS、トヨタ、富士通、シャンソン)と下位5チーム(アイシンAW、トヨタ紡織、日立ハイテク、羽田(※旧エバラ)、山梨)の対戦成績を比較してみよう。
昨シーズンは合計44試合中、下位チームが勝った試合は2試合のみ。30点差以上で敗れたのは18試合もあった。逆に1桁点差まで競った展開もたったの2回。この結果から見てもレベルの差は歴然である。
今シーズンも勝った試合は変わらず2試合だけだった。しかし、合計60試合に増えたにも関わらず、30点差以上の大敗を喫したのは16試合に減り、1桁点差は12試合に及ぶ。
この結果から、昨シーズンの経験が下位チームのレベルアップにつながり、しっかりと結果に現れ始めたことが分かる。
JBL2から上がって来たチームたちは、今シーズンこそレベルの違いに戸惑い、勝利を得られない苦しい日々を過ごしている。だが、そこには来シーズンへ向けた光も見えているはずだ。
そこで、JBL2を経験したつくば#1浅野 崇史と兵庫#9谷 直樹の2人に、NBLでの戦いについての心境を伺ってみた。
「前回対戦した時とは全然違う」と旧JBLチームからもらった評価
ホームで逆転負けを喫し、悔しい1敗となったが、先発出場を果たした浅野自信は11点を挙げ、エフィシエンシー(EFF)も10を記録。
「個人的にオフェンス面では良かったですが、大事な場面で相手にオールコートプレスをかけられた時に僕もミスをしてしまったり、周りの連携もうまく行かなかった。そこが悔やまれるところです」
ともにJBL2から上がって来ただけにお互いがライバル視しており、「2連勝してやろう」という強い気持ちで浅野は臨んでいた。初戦を落としてしまったが、まだ今日4月11日の試合が残っている。
本題であるNBLでの戦いについて伺って行こう。まずは、旧JBL勢との対戦を通じてレベルアップを感じているのだろうか?
「強い選手たちに揉まれることで、自分自身にとっても若い選手にとってもチームとして良い経験を積めています。また、周りのチームからも、『前回対戦した時とは全然違う』という評価をもらったりして、成長しているという実感はあります。でも、良くも悪くもこのチームはまだまだですね」
前節は49-92、44-108、全く歯が立たなかった和歌山トライアンズ戦を振り返り始る。
「ケガ人が多い中、僕自身がチームを引っ張ってやろうと思っていました。でも、それが空回りしてしまって何もできず。結局はメンタルだけやられて帰って来ました」
その和歌山戦は、主力が相次いでケガに見舞われ、河相 智志や田中大地、ラマー・サンダースとジャスティン・レイノルズもおらず、日本人だけの試合を強いられた。
「和歌山戦で大敗しましたが、みんなも落ち込んだ気持ちを引きずる感じはなく、逆に若い選手たちにとっては良い経験ができたという前向きに考えています」
全てにおいて精度が高い。だからこそ「止めてやるぞ!」
つくばの悲運は、ケガ人が多いこと。戦力が整えば、十分おもしろい試合が期待できるチームでもある。昨シーズンのJBL2 は32試合だったが、NBLは54試合と大きく試合数が増えたことも影響があるのだろうか?
「僕はbj(埼玉、京都)でもプレイしていたのでそこまでタフという感覚はないです。でも、そこの調整は確かに難しい。選手としては休みたいけど、試合に出るためにも練習でアピールしなければいけないという葛藤もある。ガマンしてしまった結果が、ここに来てケガ人が増えた原因でもあります。その点は、コーチと選手がもっとコミュニケーションを取ってうまく休むことができれば、もっとチームは良くなるはずです。やっぱりケガ人が増えると、チームとしては辛くなります」
旧JBL2とJBLの違いについて、浅野は簡潔に述べてくれた。
「どのプレイにしても精度が高いです。全て、どれを取っても完成されている感じがします」
クォリティ高い旧JBL選手たちとマッチアップをしてみて、どのような感想を抱いているのだろうか?
「4番ポジション(PF)としてビッグマンをマークした時は、正直言って辛いという場面はありますね。でも、そこはチームディフェンスで仲間にカバーしてもらって対応するようにしています。逆にオフェンスでは、デカい選手を引っ張り出してドライブするなど、有利な点もあります。高さを言い訳にせず、プラス思考でできることを考えてプレイしています。3番ポジション(F)として出る時は、結構ディフェンスが好きですし、相手のエースが多いポジションでもあるので『止めてやるぞ』という強い気持ちで挑んでいます」
デイトリックつくば時代、JBLチームと対戦した公式戦はオールジャパン2013の時、日立サンロッカーズとの1試合のみ。その翌シーズンから、一気にトップリーグの舞台に移り変わることに戸惑いは無かったのだろうか?
「正直言えば、準備期間というかもう少し時間は欲しかったです。でも、そこはロボッツ特有のノリで『まぁ良いっしょ』という軽い感じでネガティブにならず、前だけを向いてやってきました」
つくばはウォームアップ時から明るく、そしてベンチはいつも騒がしい。
「ファンのためにも負けてはいけないし、一つでも多く勝てるに越したことはありません。でも、つくばの長所は、チームワークが良く、みんなが楽しんでバスケットをしているところ。変な縛りも無いですし、みんなが自由に伸び伸びとできています」
強いヤツへ向かって行くことこそがモチベーション
残るは本日、つくばカピオアリーナでの兵庫戦を含め、あと5試合となった。
「まだまだこれから伸びる若い選手もいっぱいいるので、少しでも接戦をものにしたり、負け試合の中からも今いるこのレベルの空気を感じ取って欲しいですね。ベテラン選手たちは若い選手たちを引っ張るとともに、勝ち方を少しでも覚えられるような試合をしたいです」
最後に、NBLでの戦いは充実しているだろうか?
「昔から強いヤツに向かって行くことが自分にとってはすごいモチベーションが上がることです。毎試合、毎試合が楽しいです。このチームは負けず嫌いが多いので、やってやろうっていつもみんなで燃えています」
浅野へのインタビュー時、とてもポジティブな発言が多く、話を聞いていてワクワクさせられた。負け試合であり、対して観客も入らなかったホームゲームであったが、試合後は少なからず集まったファンとともに時間が許す限り交流していたつくばの選手たちの姿が印象深い。
次回の後編は、12月25日の千葉ジェッツ戦以来、約3ヶ月ぶりにNBLで勝利を得た兵庫#9谷 直樹の心境に迫る。(来週早々公開予定)
- 4月11日(金)18:30 つくば vs 兵庫@つくばカピオアリーナ
- 4月19日(土)15:00 アイシン三河 vs つくば@安城市体育館
- 4月20日(日)15:00 アイシン三河 vs つくば@安城市体育館
- 4月26日(土)15:00 つくば vs 熊本@水郷体育館
- 4月27日(日)14:00 つくば vs 熊本@水郷体育館
泉 誠一