J1(18チーム)、J2(22チーム)合わせてJリーグは全40チーム。国内バスケは男女4リーグ(bj/NBL/NBDL/WJBL)あり、計54チーム。これにより47都道府県中40地域にスポーツチームが配置され、各地で熱戦を楽しむことができる。来シーズンには、41地域目となる福島県に「福島ファイヤーボンズ」が誕生し、bjリーグへ参戦することでさらに拡大。
3月1日よりJリーグが開幕した。バスケやサッカーの熱気が日本中で高まることが、春を到来させると考えれば楽しいではないか。
我が街のJリーグチームであるFC東京。今年こそリーグ制覇をしてもらいたいと願っており、来週行われるホーム開幕戦は応援に行く予定。そのホームゲームではいつも、接戦でも、5-0のワンサイドゲームでも、勝利の瞬間はスタンド総立ちで我らのチームを称える。NBAをはじめとしたアメリカプロスポーツ会場でもお馴染みのスタンディングオベーションだ。
チームや選手の活躍を労う当たり前の行為だが、国内バスケ会場……筆者のテリトリーである関東圏では見た記憶がない。都内で行われる優勝決定戦でさえ、幾度となく腰を浮かすことはあれど、立ち上がったまま称えるスタンディングオベーションまでには至らない。完全ホームではなく中立地域開催なので、総立ちとはなかなかならない現状もあるだろう。
東西カンファレンス3位同士であり、プレイオフ進出へ向けて負けられない一戦となったリンク栃木ブレックス vs 三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋戦。お互いにリードを奪い合うシーソーゲーム。記者席からの観戦であったが、思わず机をガタッと動かしてしまうほど腰を浮かせてしまい、周りの記者さんたちにご迷惑をかけながらその勝負の行方を見守っていた。
勝敗がどちらに転ぶか分からない中、3本のゴールが決まったクライマックス。
田臥勇太の得点でリンク栃木が勝ち越せば、神がかった朝山正悟がねじ込み、再び三菱電機名古屋がリード。試合を決めるべく田臥が再びシュートを狙うがこれはリングに嫌われる。
「落ちても拾ってくれるメンバーがいるので思い切って打った」と言う田臥。
それに対し、「願わくば勇太に決めてもらいたかったけど、相手のディフェンスが入れ替わり身長差が生じることでオフェンスリバウンドでは僕が有利になることは分かっていた」と話すライアン・ロシター。その言葉通りに準備していたことでオフェンスリバウンドを奪い、決勝点を挙げた。
残り3秒。まだ三菱電機名古屋にも、逆転のチャンスは十分残っていた。それを阻止したのはリンク栃木のディフェンスだけではない。国内バスケではなかなか見られないと言ったが、この日の栃木県立県南体育館はスタンディングオベーションが起きる。MCが煽り、それに応えるようにロシターの逆転シュートで浮いた腰をさらに伸ばし、97%の集客率で埋めたファンが拍手と歓声でチームを勝利へと導いた。
3月1日に行われた他会場の結果を見ると、スタンディングオベーションが起きてもおかしくない好ゲームは多々あったようだ。
NBLでは、レバンガ北海道がホームで西地区首位のアイシンシーホース三河を94-71で下した。東芝ブレイブサンダース神奈川のニック・ファジーカスがシーズン1000得点目を挙げた瞬間もまた、立ち上がって称えられる瞬間だ。
WJBLでも、ラビッツ対決となった新潟アルビレックスBBラビッツvsトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦は延長までもつれる中、67-65でホーム新潟が勝利。
接戦ばかりがスタンディングオベーションの対象ではない。ホームチームが勝てば、そこに集まる地元ファンが称えることで、ホームコートアドバンテージが生まれる。
1月・2月の月間MVPに輝いた三菱電機名古屋のアマット・ウンバイはこの日、3点に終わった。
リンク栃木のアンタナス・シレイカHCは、「三菱電機名古屋のカギとなる外国人2人をしっかり止めるように準備をしてきた。ディフェンスは予定通りできた」と練習の成果が実ったことを明かした。
最後はフラストレーションを溜めながらベンチへ下がったウンバイ。三菱電機名古屋のアントニオ・ラングHCは、「ネガティブなエナジーはいらない。ポジティブに明日の試合をどうするかを考えよう」と言葉をかけた。
プレイオフまでは敗れても次の試合があり、1試合1試合が成長過程となる。そして今日もまた試合は待っている。
観戦するだけならばネット中継が準備されている時代であり、それで事足りるだろう。
しかし、会場でしか味わえないことも多々ある。安くはないチケットを購入し、そのために貴重な時間を割いて会場へ行く皆さんには、ぜひチケット代以上に楽しんでいただきたい。お気に入りのチームをサポートし、勝っても負けても明日の活力になる何かを持ちかえることができるのがライヴの醍醐味だ。
さぁ、ストレスを発散しに、会場へ行こう!
泉 誠一