2014年11月30日(日)、この日はバスケの聖地・国立競技場代々木第二体育館で「インカレ」の男子決勝戦が行われ、墨田区総合体育館ではNBLのトヨタ東京がつくばと対戦していた。
そしてここ、板橋区の小豆沢体育館ではNBDLの東京ダービー、東京エクセレンスvsアースフレンズ東京Zが熱戦を繰り広げた。前日は東京EXが68-55で東京Zを破り、開幕からの連勝は「13」に。東京Zも11勝2敗と、ともに好調を維持するチーム同士の対戦であり、満員のファンの応援合戦もあって大いに盛り上がった。
東京EXは昨シーズン、参入1年目でいきなりの優勝。ベテランと若手の融合がチームの強みだ。M・オルソンHC(現日立サンロッカーズ東京HC)の後任として、アシスタントコーチだった若き指揮官、田方 慎哉HC(28歳)がチームを引き継ぐ。一方の東京Zを率いるのは名将、小野 秀二HC。「TAKU」こと斎藤 卓アシスタントコーチが、小野HCとともに若手主体のチームを勝利へと導いていく。
若手の勢いで先手は東京Z
試合の序盤でリードを奪ったのは東京Z。#0粂川、#35高山がノビノビプレイし、積極的な攻撃でシュートを決めていく。一方の東京EXはインサイドの#7サンダース・フリソンを中心に、効果的なミドルシュートを織り交ぜながら得点を上げ、点差は僅差のまま。東京EXが17-14とリードして第1P終了。
第2Pはともにディフェンスの当たりを強めたため、ミスを目立ちシュートもタフショットになってしまう。東京EXが#8西山の3Pなどで優勢を保ち、28-24で前半を終えた。
ベテランの巧さで東京EXが主導権
後半に入ると主導権を握ったのは東京EXだった。キャプテン#31石田(剛)や#23齋藤が要所でチームを落ち着かせ、シューター#32狩野の3P、#39松永らの得点をサポート。バランスの取れた攻守でリードを広げていく。
一方の東京ZはPGの#0粂川が狙われて攻撃の組み立てができず、#25マットソンのインサイドが頼みに。ベテラン#13渡邉が3Pを決めるものの、反撃の糸口がつかめなかった。
第4Pも東京EXペースは崩れず、インサイドの#7サンダースが安定した得点力を発揮。東京Zは#24中村が3Pやドライブインで攻めるものの点差を縮められないまま。結局、東京EX67-49東京Zで連勝を「14」に伸ばした東京EXが、ガッチリ首位をキープした。敗れた東京Zも11勝3敗と、新規参入チームとしては見事な戦いぶりで、正月に開催されるオールジャパンの出場圏内をキープしている。
勝っているからこそ、次への備えが必要
連勝街道を突っ走る東京EXの田方HCは、「メンバーの入れ替えがなく、チームのベースはそのまま。ただ、このままで勝ち続けられるわけではないので、連勝している間でもコミュニケーションを大切にし、チーム力アップを目指しています」と気を引き締めている。
「ウチのチームは若いので、こういう試合を通して成長して欲しい」と、東京Z・斎藤ACは手応えを感じているようだ。
地道に着実に成長するチームを見守り続ける楽しさを堪能
この両チーム、NBDLへの参入はここ1、2年のことだが、ともにフランチャイズ地域では地道な活動を続けている。その成果が、今回の“東京ダービー”で満員のファンを呼び込む下地を創り上げた。
会場に居たアースフレンズ東京Zの山野 勝行代表によると、「コアなファンが会場に来て応援をリードしています。その様子に興味を持って、一緒に応援してい下さるファンがいるようです。コート上で選手たちはバトルをしますが、運営サイドは良い試合を提供できるよう、お互いに協力を惜しみません。次は我々のホームで“東京ダービー”を行うことが楽しみです」とのこと。
東京エクセレンス共同代表の1人である、辻 秀一代表は「行政(板橋区)との関係は良好で、選手たちがさまざまなプログラムに参加しています。例えばミニバスのチームにとどまらず、バスケビギナーの観戦につながっています」と、これまでの活動を振り返った。
しっかりと基盤を整備しながら、チーム躍進を目指す両チームの活動にはとても励まされる。1万人収容のアリーナではないが、占有率は100%!「リアル東京ダービー」はコート上の熱戦と、運営サイドの協働による成功の好例だ。NBDLは育成リーグという位置づけだが、チームごとにどんどん成長を続け、リーグ自体が成熟しているに違いない。「常に“上”を見上げながらも、まずはコツコツと実績を積み上げて行く」そんなチームをずっと見守っていくのはとても楽しいはず。皆で(バスケビギナー大歓迎!)応援しましょう!!
12月6日(土)12:30 豊通名古屋(2位)vs 東京EX(1位)@三好公園総合体育館
12月7日(日)12:30 豊通名古屋 vs 東京EX@三好公園総合体育館
12月13日(土)15:00 東京Z vs 豊田合成@大田区総合体育館
12月14日(日)14:00 東京Z vs 豊田合成@大田区総合体育館
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。