『育成リーグ』と言うなかれ
11月2日、3日の両日、愛知県海部郡の大治町スポーツセンターにおいて、NBDLの頂上決戦第一ラウンドが行われた。今シーズンのNBDLは間違いなくこの2チームが優勝を争うだろう。ロスターを見ると双方ともビッグセンターを擁し(豊通名古屋#41スコット・バンダミーア、213cm。東京EX#24ジョー・ヲルフィンガー、211cm)、他にも外国籍選手がベンチ入り。新しいレギュレーション(1、3ピリオドはオンザコート2)対策も万全だ。
豊通名古屋は伝統のあるチームで創部は1957年と古く、日本リーグや日本リーグ2部、JBL2でも数々の栄冠を勝ち取っている古豪。JBL2で3年連続3回MVPを獲得した#1宮崎恭行を始め、「AIR NAGOYA」こと#10岩田 淳、#12竹原 太一の両ベテラン。他のメンバーは23~27歳と伸び盛りの選手だ。
そこに、第2回スラムダンク奨学生、#13早川ジミーが加わった。パワーフルかつクイックネスを活かしたドライブインが持ち味の早川は高校時代から頭角を現した逸材は、日本でキャリアアップの真っ最中!
対する東京EXは今シーズンから参入を果たした新興チーム。だが、ロスターを見ればベテラン勢の名前が目を引く。#23齋藤 豊、#31石田 剛規、#33宮田 諭らは元トヨタ自動車アルバルクに所属していた。中でも司令塔となるPGの宮田はチームを支える重要な役目を担っており、とても一筋縄ではいかないチームだとわかる。
第1戦は接戦、第2戦は一方的なゲーム
第1戦は出だしから一進一退の展開。両チームともインサイドにボール集め、着実に得点する。守っては厳しいディフェンスで相手を抑え、15-15で1Pを終えた。2Pは攻守の切り替えが早い豊通名古屋がペースをつかんだ。ただ、東京EXもよく堪え、リードは許すものの、豊通名古屋30‐26東京EXと僅差で前半を終えた。
3Pは逆に東京EXがエンジン全開。石田の効果的な3Pもあり、一気にリードを奪った。続く4Pは豊通名古屋が粘りを見せた。残り6分を切ったところで早川のアシストを受けた#18〇〇がシュートを決め59‐58と再逆転、このまま逃げ切るかと思われた。が、東京EXが相手ディフェンスのスキを突いてミドルシュートを連発。ファウルを誘って3Pプレイとするなど、東京EXが80-76で勝利を飾った。
翌日の第2戦は前日と打って変わって豊通名古屋の一方的なゲーム。1Pはなんと34‐9と抜群の破壊力を見せつけた。その後も攻撃の手を緩めず前半だけで58得点。東京EXを21点に抑え込んでしまった。選手層の厚さと前日の悔しさをぶつけた豊通名古屋の完勝(97‐78)となり、第一ラウンドは1勝1敗の五分の星で終わった。
この両チームが所属するのはNBDL(ナショナルバスケットボールディベロップメントリーグ)。つまり、『育成リーグ』という位置づけ。ただし、この両チームに限っては育成リーグと言うなかれ。
なぜなら「リーグの名称は変わっても、打倒トップリーグは変わりません」とチーム関係者の鼻息は荒い。オールジャパンでNBL勢と対戦することを楽しみしているが、“打倒!”を現実のものにしようとしている。
オールジャンのNBDLの出場枠は4チーム。年末に向け、上位入りを目指そうと熱い戦いを繰り広げるNBDLのゲームから目が離せない。
■順位(11月3日現在)
1位 東京エクセレンス(EX) 5勝1敗
2位 豊田通商ファイティングイーグルス名古屋 5勝1敗
3位 アイシン・エイ・ダブリュ アレイオンズ安城 5勝1敗
4位 東京海上日動ビッグブルー 2勝2敗
5位 大塚アルファーズ 2勝2敗
6位 TGI・Dライズ 3勝3敗
7位 豊田合成スコーピオンズ 1勝5敗
8位 レノヴァ鹿児島 1勝5敗
9位 黒田電気ブリットスピリッツ 0勝4敗
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。