ハヤブサジャパン(女子日本代表)
世界選手権前のヨーロッパ遠征中!
昨年(2013年)の10/27〜11/3に行われた「第25回FIBA ASIA女子選手権大会」で43年ぶりの優勝を果たした女子日本代表。内海 知秀ヘッドコーチが引き続き指揮を執り、今度は“世界”を相手にチャレンジの時が来た。当面の目標は「第17回FIBA女子世界選手権」(9/27〜10/5)での上位入賞。大事な大会を前に、最終調整を兼ねたヨーロッパ遠征で強化を図っている。
今回のヨーロッパ遠征は連戦が続く8試合をこなすハードスケジュール。その狙いを内海HCは「軸になる選手を作っていく。世界選手権を考えれば、『スタートでこの選手を使って、交代するならこの選手』『この場面ならこの選手』というイメージはできつつある。プレイタイムを考慮してメンバー交代をしながら、さまざまな視点で選手を見ていきたい」と言う。
そして、もうひとつテーマに挙げたのが、「アウトサイドのシューターのところ。まだ安定感が足りないと感じているので、このヨーロッパ遠征でどれだけ(レベルを)上げていけるか」だった。
FIBA ASIAのMVP/ベスト5の渡嘉敷 来夢選手、同じくベスト5の間宮 佑圭選手らは世界デビューを心待ちしており(残念ながら、同ベスト5の吉田 亜沙美選手はリハビリ中)、チームの軸になる選手。WNBAやWCBAでキャリアを積んでいる大神 雄子選手も含め、女子日本代表は間違いなく世界レベルの実力を備えている。
今回のヨーロッパ遠征で、アウトサイドのシュート力が求められるとするならば、そこで期待される選手の1人が栗原 三佳選手だ(トヨタ自動車アンテロープス)。昨シーズン、Wリーグ2年目でスタメンに定着し、レギュラーシーズンはチーム一の得点力(Avg.12.36/リーグ12位)でベスト5を受賞した。
そんな彼女が脚光を浴びたのは、ルーキーシーズンのオールジャパン・ファイナル(vs JX-ENEOSサンフラワーズ)での大活躍。チーム初優勝に貢献する23得点を挙げたが、そのうち3ポイントは7/11という高確率で、次々にシュートが決まるたびに場内のどよめきを誘った。
持ち味の3ポイント炸裂で、ニューヒロイン誕生の予感
Q:初の女子日本代表ですが、実際にプレイして手応えはいかがでしょうか? ご自身のアピールポイントは?
栗原:代表合宿が始まった当初から比べると、だいぶ慣れてきました。3ポイントを積極的に狙って行くことと、そのシュートを確実に決めることでアピールできればと思っています。
Q:12名に絞られる選考段階があったわけですが、評価を得られたと感じているのは?
栗原:やはり3ポイントなんですが、全体の動きの中でのシュートチャンスはゼッタイに逃さない。しっかり打つべきときに打つ、というのが大切だと考えています。その点は、評価されていると思います。トヨタ自動車(アンテロープス)とはオフェンスのシステムが違うので、自分の中ではプレイスタイルは分けて考えています。ただ、シュートに関しては同じタイミングで、自分が打つべきところで躊躇しないことが大切ですね。この積極性も持ち味のひとつですし、変えるつもりはありません。
Q:逆に、難しさを感じるところはありますか?
栗原:コンビネーションというか、フォローのところ……私はフォローされることが多くて、フォローすることが少ない。そこは足りないかな、と感じています。気持ちの面では普段通りなんですが、合わせのプレイがまだ難しいですね。ただ、コミュニケーションは取れていますし、チャンスがあればどんどんシュートは狙っていますから大丈夫です(笑)
Q:今回のヨーロッパ遠征で、自分なりのテーマはありますか?
栗原:ディフェンスです。簡単にインサイドでやられないよう、しっかり守ること。それと、相手がハードなディフェンスを仕掛けてきたときに、それをどうかわしていくか。これまでの親善試合ではあまり上手く対応できませんでした。自分が点を取ることは重要ですが、相手のマークが厳しければ、できるだけ引き付けてノーマークの味方にパスを出すとか、チームとして得点できるようプレイの精度を上げたいですね。
Q:長期の海外遠征は初めてですか?
栗原:学生時代、ユニバーシアード代表でプレイしたとき、2週間ぐらいの遠征を経験しています。ただ、今回は日本代表の一員で、意識としては違いがあります。(予選は戦っていませんが)世界選手権になれば、自然と気持ちも高まると思いますし、楽しみにしています。
Q:世界選手権の目標はいかがでしょうか?
栗原:まずは上位進出が目標でベスト8。(個人的には)できればベスト4に残りたいと思っていますが……。まずはプレイタイムがもらえるように頑張って、できるだけ得点に絡みたいと思います。代表に呼ばれるとわかったときは、“まだまだ私なんて……”と感じていましたが、代表合宿でさまざまな経験を積み、レベルアップできていると思います。自信を持ってプレイし、チームに貢献します!
* * * * * *
練習終了後のインタビューだったが、終始、チャーミングな笑顔でハキハキと受け答えをしてくれた。この日は髪をきちんと結んでいたので、そうすると気持ちが上がるのか確認してみたが、“髪が揺れると気になるので、パパッとまとめただけ。そこに時間をかけるなら、ストレッチに時間をかけますよ(笑)”とのこと。
おそらく短い時間で気持ちを上げて、コートへ飛び出していくのだろう。自分のタイミング、自分のエリアでボールを持てば、躊躇なくシュートを狙う彼女の成長があれば、内海ジャパンの飛躍はより確かなものになるはずだ。
ヨーロッパ遠征(8/25〜9/13)
※順位はFIBA世界ランキング/日本は17位。時間は現地時間
開催国:トルコ
9月1日(月) 19:00〜 日本 vs トルコ(13位)
9月2日(火) 16:45〜 日本 vs チェコ(5位)
9月3日(水) 16:45〜 日本 vs ベラルーシ(10位)
開催国:スペイン
9月5日(金) 19:00〜 日本 vs スペイン(6位)
9月6日(土) 17:00〜 日本 vs セルビア(29位)
9月7日(日) 12:00〜 日本 vs アンゴラ(20位)
開催国:フランス
9月10日(水) 20:00〜 日本 vs セルビア(29位)9月11日(木) 20:00〜 日本 vs フランス(4位)
ハヤブサジャパン 2014年度バスケットボール女子日本代表チーム
第17回FIBA女子バスケットボール世界選手権大会
日本代表選手 メンバー表
〈チームスタッフ〉
チームリーダー 高橋 雅弘(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ 内海 知秀(公益財団法人日本バスケットボール協会)
コーチ 梅嵜 英毅(山梨学院大学)
総括 庄子 梢枝(公益財団法人日本バスケットボール協会)
トレーナー 伊藤 由美子(公益財団法人日本バスケットボール協会)
マネージャー 山﨑 舞子(JX-ENEOSサンフラワーズ)
〈選手〉
#4 大庭 久美子(デンソー アイリス)
#5 髙田 真希(デンソー アイリス)
#6 間宮 佑圭(JX-ENEOSサンフラワーズ)
#7 山本 千夏(富士通 レッドウェーブ)
#8 宮元 美智子(三菱電機 コアラーズ)
#9 久手堅 笑美(トヨタ自動車 アンテロープス)
#10 渡嘉敷 来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)
#11 栗原 三佳(トヨタ自動車 アンテロープス)
#12 長岡 萌映子(富士通 レッドウェーブ)
#13 大神 雄子(公益財団法人日本バスケットボール協会)
#14 宮澤 夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)
#15 王 新朝喜(三菱電機 コアラーズ)
※所属は2014年8月5日現在
第17回FIBA女子バスケットボール世界選手権大会 大会概要
日 程:2014年9月27日(土)〜10月5日(日)
開催地:トルコ・イスタンブール、アンカラ
出場チーム:16チーム
【グループA】ブラジル、日本、スペイン、チェコ
【グループB】モザンビーク、トルコ、フランス、カナダ
【グループC】韓国、キューバ、オーストラリア、ベラルーシ
【グループD】セルビア、中国、アメリカ、アンゴラ
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。