目標に掲げるアウェイ2連勝は、プレイオフホーム開催への布石
TK bjリーグに参戦する22チームのうち、最北端を本拠地にする青森ワッツ。参戦1年目の昨シーズンにプレイオフ進出を果たした自信を纏い、今シーズンは1ヶ月が経過した時点で6勝2敗と幸先良いスタートを切った。
今シーズンの目標の一つとして、「アウェイで2つ勝つこと」を挙げた棟方 公寿ヘッドコーチ。ギリギリ6位でプレイオフを迎えた昨シーズンは、アウェイの洗礼を受けた。その反省点を踏まえ、アウェイでもしっかり勝ち星を重ねることで、「今度はホームでプレイオフを戦えるようにしたい」と話しており、明確な目標を掲げて東地区4位以内を目指す。
すでに6勝を挙げたうち、アウェイで行われた大分ヒートデビルズ戦、そして取材を行った東京サンレーヴス戦は2連勝し、目標達成。しかし、マエダアリーナに横浜ビー・コルセアーズを迎えたホーム開幕戦(10月18日)は68-75で落としている。
10月26日(日)に行われた東京との2連勝を賭けた2戦目。2Q途中、棟方HCは「前に出ろ」と指示を送る。
「東京の特長は高い位置でのピック&ロールから始まるので、前から当たっていかないとやられるケースが多いです。そうされないためにもしっかりプレッシャーをかけ、3Pシュートをどんどん打ってくるチームでもあるので、少しでも苦しいシュートを打たせることが一つの課題でした」
ディフェンスをタイトにし、東京のチャンスを潰す。青森は前半だけで6本の3Pシュートを沈め、アウトサイドシュートからの得点をメインに39-27と点差を開く。
しかし後半、東京のルーキー#9目 健人選手の3Pシュートを皮切りに4連続得点を許し、5分を過ぎて43-36、7点差まで詰められる。青森ベンチに目をやるが、棟方HCは動かない。この苦しい時間帯を凌いだのはコート上にいた選手たちだった。
「ベテランの選手たちを獲得したことも大きな要因です。練習中も、選手たちで解決させるようなこともしていますし、タイムアウトも取れる回数が決まっていますので、終盤に競っていくことを考えれば大事な時間帯のために残しておく必要があります。以前、どんどんタイムアウトを取ってしまって、最後の大事な場面に無くなってしまっていたこともありました。自分たちも残しておかねばならず、そのためには選手たち自身が解決することが大事です」
今シーズンは、岩手ビッグブルズより9年目の高橋 憲一選手、ライジング福岡から7年目の石谷 聡選手と経験ある選手たちを獲得。早くもリーダーシップを発揮し、チームを盛り立てピンチをチャンスに変えた。青森がペースを奪い返すと一気に得点を離し、3Q終了時点で59-41。メンバー全員をコートに送り込んだ青森が76-57とし、19点差をつけて圧勝。同一カード2連勝を飾った。
インサイドからの攻撃が強み
開幕まもない時期であり、プレイスタイルも試合毎に区々ではあるだろう。しかし、この日の青森は徹底してアウトサイドを攻めた。インサイドから1本攻めれば落ち着くのではないかと思って見ていたが、ナゼなのか?
「東京が今、どこを抑えにきているのかをコートにいる5人がしっかり把握しなければいけません。前日の試合では我々のインサイドの方が強かったです。そうなると相手はインサイドを抑えにくるのは明確です。逆にこちらは、かしこく外にボールをさばいて、ノーマークで打っていこうと、今日は指示していました」
棟方HCの方が一手先を行っており、終始ゲームを掌握していたわけだ。
「やっぱり僕らはインサイドから攻めることが強みでもある」と言うのは、移籍して来た石谷選手。
「インサイドからの得点が増えることで、もっとアウトサイドからも楽にシュートを打つことができるようになります。思い切りシュートを打てることで、リバウンドも獲りやすくなります。その点に関しては、チームとしてもっと良くしていきたいです」
アジャストすることも大事だが、絶対的な攻撃パターンを作ることも、勝負どころで相手を上回る武器となる。次に観戦する時は、インサイドに注目したい。
福岡出身の石谷選手が7年間プレイした地元を去り、新天地として青森を選んだ理由とは?
「青森ワッツはすごく良いチームですし、優勝できる力があると思って移籍を決めました。ベテランから若手まで幅広いメンバーですが、みんながすごく良いものを持っているとともに、ケミストリーも良くなってきています。これからもっともっと良くなっていけば、自ずと優勝に近づいて行けると思います」
ベンチメンバーは立ち上がってコートを鼓舞し、アウェイにも関わらず多くのブースターが駆けつけて盛り上げる青森は情熱の炎が感じられる。
会場内の熱さとは裏腹に、寒さ厳しい北国での生活に対し、「生活環境は180度変わった感じがしています。これから本格的な冬を迎え寒くなってきますが、そこは未知の世界です」と石谷選手は笑った。
ディフェンスマインドで優勝を目指すのみ!
棟方HCは一つ目の目標としてアウェイでの連勝を掲げた。それは次の目標となるホームでプレイオフを戦うためであり、「何としても有明(コロシアムで行われるリーグ内の4強が集うFINAL)に行きたい」からである。
「チームとしては優勝を目指してやるのみ」と石谷選手は即答。
PGというポジションとしてチームを勝利に導くためにも、「ヘッドコーチが求めることを僕が一番理解していかなければいけませんし、それを試合中に表現しなければいけません。まずはしっかり理解し、良いゲームの流れを作っていけるようにしたいです」。
ディフェンスに定評ある青森であり、石谷選手にとっても自分の力を存分に発揮できる。
「常にディフェンスマインド(ディフェンスを意識して)でゲームに入っていますので、昨シーズンから引き続きディフェンスを良くすることで得点力が上がっていくと思っています。そこを重点的に意識していきたいです」
10月26日現在、6勝2敗で東地区5位。目標となる4位圏内には入れてはいないが、3位秋田ノーザンハピネッツ、4位新潟アルビレックスBBには勝率で並び、1位岩手ビッグブルズ、2位富山グラウジーズとの差は1ゲームしかない。
今週末、2位富山とのホームゲームが待っている。アウェイ2連勝ということは、自ずとホームも2連勝が目標となるはずだ。優勝を目指すためにも、乗り越えねばならない相手。上位チームとの初対戦となる富山戦は、青森の真価が問われる。
青森ワッツ vs 富山グラウジーズ
会場:岩木山総合公園体育館
11月1日(土)17:00
11月2日(日)14:00
泉 誠一