毎年、お正月に開催される「オールジャパン」にはトップリーグなどの推薦チームの他、全国9ブロックを勝ち抜いてきたチームが参加している。カテゴリーはさまざまで、地元の企業チームもあれば、大学生やクラブチーム、女子は高校生(東海代表:安城学園)が出場権を獲得したケースもある。
そのほとんどは元旦に登場するが、“1勝”の壁は厚い。大差がつくケースもあるが、それは覚悟の上。「自分たちの力を試したい」そんな思いを胸に、最後の最後までボールを追い続ける選手たちの姿がコートにある。
BEANS(中国代表)は東京エクセレンス(NBDL1位)に54-110で敗れた。#7小倉石一哉選手は40歳で、レバンガ北海道#9折茂武彦選手(43歳)に次ぐベテランだ。
「地元・福山にはNKK福山という強いチームがありました。なんとかこれをやっつけたいと思い、チームをつくったんです。ちびっこ集団だったので『豆』(笑)。粘り強いディフェンスと独特のリズムの攻撃が持ち味。今回4度目の挑戦です!」
相手の東京エクセレンスは211cm、200cm、194cm……やはり高さに手を焼いた。が、皆が声を掛け合い、必死にボールを追いかけた。それにはもう一つ理由があった。ご存知の方も多いと思うが、“花道プロジェクト”のスピリッツを背負っていたからだ。
これは、岩手県大槌町をバスケットボールで元気にしたい、復興支援・町おこしのサポートをしようというのが主旨の企画。 一人でも多くの人にこの活動を知らせ、絆を深めたいという願いがBEANSのユニフォームにデザインされていた。
つくばロボッツ(NBL)#20河相智志選手を始め、bjリーグに選手を送り出しているBEANS。これからもチームの強化だけでなく、“バスケで絆をつなぐ”活動にも全力で取り組んでいく。
激戦の近畿を勝ち上がり
Fantasista念願の初出場!
近畿代表のFantasistaは初出場。大学4位の拓殖大学を相手に前半は善戦(36-46)したものの、後半はスタミナ不足もあり、徐々に差をつけられた(67-93)。監督であり、チームの代表を務める吉田勇人さんはかつてプレイヤーだったが、ケガもあり途中で断念せざるを得なかった。
「選手がいいコンディションを保ちながらプレイが続けられる、そんな受け皿をつくりたかったんです」と、数年前にトレーニングジム(整骨院併設)をオープンさせた。そこに集まる選手たちでバスケチームをつくり、さまざまな支援を続けている。その結果、2012年にはクラブ日本一に輝いた。
ただし、近畿代表になるのはそう簡単なことではない。実業団や大学、クラブチームの強豪も予選に参加し、1枠の代表の座を争わなければならない。今回は“プロ”を目指す#13レミー・ボズウェル選手の加入もあり、見事初出場を勝ち取った。
「このチームをステップにして、バスケ選手として成長して欲しいですね。すでにbjリーグで活躍する選手がいますが、ここに集まるのは“バスケ好き”ばかり。フィジカルもメンタルもここで鍛え、チャンスをつかんで飛躍してくれれば嬉しいです」
チームとして上を目指すだけでなく、選手一人ひとりの思いに応え、少しでも良い環境を提供したい、それがFantasistaの存在意義。「バスケを諦めない、バスケを続けたい」という“バスケ好き”に新たな選択肢を提供し続けている。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。