2014年6月5日(木)~8日(日)にロシア・モスクワで開催される『第2回 FIBA 3×3男子バスケットボール世界選手権大会』に出場する日本代表チームの記者会見が行われた。
そもそも「3×3」とは、「ストリートからオリンピックへ」を合言葉に、FIBA(国際バスケットボール連盟)の肝いりで実施されるもの。3on3(ハーフコートバスケットボール)のルールなどを統一し、国際化を図って2020年東京オリンピックでは公式種目としての実施を目指している。ポイント制で決まる国別ランキングで日本は13位(2014年5月8日現在)。今回の世界選手権を始め、「3×3」は今後ますます楽しみな種目だ。
5月24日(土)の記者会見ではスタッフ・選手のコメントと、ユニフォームのお披露目が行われた。スタッフ・選手のコメントは以下の取り。
アドバイザリーコーチ 金澤 篤志
「最終の4名に絞り込むのは難しかったが、決め手は“ひたむきにボールを追い、強烈な個性を持っていること”。『世界ベスト』8を目標に掲げ、2020年東京オリンピックで3×3が正式種目となるための基礎づくりも担っていきます。新しい種目であり、パイオニアとなる日本代表として、チーム一丸となって戦っていきます」
──サイズのある外国勢に対しては、「持ち味であるスピードと運動量で攪乱し、足もとを狙う」とのこと。自分たちのスタイルを貫いて、ベスト8という目標達成を目指す。
#7 鈴木 慶太(F’SQUAD)
「日本代表として戦えるチャンスをもらい、非常に興奮しています。また、自分がストリートバスケットボールというフィールドで、今まで(仲間たちと)積み重ねてきたことがこうやって実を結んだことにも興奮しています。ただ、この思いをより確かなものにするためにも結果が求められます。新しい競技である3×3の普及のためにも、皆さんの応援を力に変えてしっかり戦っていきます」
──今回、チームのキャプテンを務めるSOMECITYの人気者K-TA。高校や大学で目立ったキャリアや実績はなく“好きなバスケットを続けてきただけ”と謙虚にコメントを切り出した。が、その表情にはこれまで打ち込んできたストリートボールへの自負が感じられる。プレイもさることながら、「キャプテンシーに期待」(金澤アドバイザリーコーチ)されての代表入り。
#8 高久 順(UNDERDOG/プレス工業)
「日本代表に選ばれたからには目標である『世界ベスト8』に向かって頑張りたいです。普段は関東実業団リーグでプレイをし、平日は仕事が中心。(日本代表候補入りしてからは)土日に3×3の合宿を行いながら頑張ってきました。ただのサラリーマンでも日本代表になることができましたので、“サラリーマン魂”を世界大会でも発揮していきたいです」
──コメントは笑いを誘ったが、その目は真剣そのもの。「3×3.EXE TOURNAMENT 2013 FINAL STAGE」で優勝し、海外での試合も経験した。3×3の魅力を聞かれ、“世界を相手に戦えること”と答えた通り、今度は日本代表として新たな道を切り拓こうとしている。体を張ったアグレッシブなプレイには定評があるが、家族の誕生日にちなんだ背番号を選ぶなど、優しいパパの一面も(笑)
#47 野元 勇志(UNDERDOG)
「候補選手の中で一番身長が低く、自分が真っ先に選考から落とされると周りの人に言われていました。自分もそう思っていましたが、最終メンバーに選ばれることになりました。日本代表になったからには結果を求めていきます。目標は『世界ベスト8』ですので、しっかり結果を残して日本に帰ってきたいです」
──身長が低いだけでなく、代表選手では最年少。記者会見では緊張している様子が見て取れた。ただし、公開練習ではキレのあるプレイを見せ、スピードを生かした果敢なドライブインも披露。SOMECITYでTA-BOと呼ばれる「切り込み隊長」は、記者会見のようなかしこまった場所よりも、コートに放つに限る。
#91 落合 知也(大塚商会アルファーズ)
「今回、日本代表に選ばれ、大変光栄に思っていると同時に嬉しく思っています。現在、日本ランキング1位ですが、そのことで気を抜かず、選考合宿が始まった時から一つひとつの練習をクリアしていきました。常に海外でプレイすることを意識して臨んでいます。チーム目標『世界ベスト8』は不可能な目標ではないと信じています。サイズやフィジカル面で劣る部分もありますが、脚力を生かし気持ちを前面に出したディフェンス、オフェンスで圧倒できると思っています。結果を残すことが3×3の可能性を広げていく手段だと思っていますし、日本の第一人者になれるよう結果を求めていきます」
──誰よりも大きな声で、ハキハキとコメント。K-TAらとともに「パシフィック・オープン」に出場するなど、ストリートボーラーとしての実績は申し分ない。武者修行に出かけ、世界を肌で知っている男はNBAの大スター、D・ロッドマンをリスペクトし、SOMECITYではWORMと名乗る。「フロアリーダーとして、得点、リバウンドに期待」(金澤アドバイザリーコーチ)されているが、「3×3なら海外勢に勝てる要素がある」と頼もしいコメントも彼らしい。
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。