始まったばかりのNBLだが、昨シーズンのJBLラストシーズンから東芝ブレイブサンダース(現東芝ブレイブサンダース神奈川)に加入し、ファイナルへの原動力となった2年目の二人。210cmのニック・ファジーカスは昨年JBLの得点王(平均21.55点)となり、今シーズンはさらにアベレージを上げ、これまで平均26.50点。さらにリバウンドは14.6本、ブロックは2.14本でそれぞれリーダーズの首位に立つ(11月10日現在)。NBAダラス・マーベリックスやLAクリッパーズでプレイした経歴を持ち、その後はベルギーやフランス、NBADリーグ、フィリピンなど各国プロリーグを経て、昨シーズンから日本にやって来た。見た目はベテランの風格が漂うがまだ28歳と若い。もう一人は、JBL最後の新人王に輝き、今年は日本代表にも初選出された辻直人。2年目を迎えたこの二人だが、対照的な開幕からの1ヶ月間となった。
自信を持ってプレイし、スタッツを残せたことで余裕が生まれた
NBA月間MVPを受賞したファジーカスは、すでに挙げたように3つの部門でリーダーズのトップにおり、チームを首位に導く活躍を見せている。頭ひとつ抜け出す山のようなビッグマンだが、速攻では先頭を走り、シュートレンジが広く、リバウンドも強い。チームプレイを重んじるナイスガイは東芝神奈川の大黒柱であり、誰が呼んだが(?)“ニック・サンダー・マウンテン”としてそびえ立つ。
─ 2年目ということもあり、余裕を持ってプレイできているのでは?
ファジーカス「昨シーズンの途中からリーグやチームに慣れたことで、余裕を感じながらプレイすることができています。今の調子をこのままシーズンを通して発揮できるようにしていきたいです」
ー 昨シーズンの途中から慣れたということだがきっかけは?
ファジーカス「これまでいろんなチームでプレイして来ましたが、いつもチームに貢献できるという自信を持ってプレイするように心がけています。特に得点を獲ることに関しては自信を持っていました。それが数字として表れ始めたことで、昨シーズンの途中から余裕が生まれてきました。また、北(卓也)HCが良い場面で使ってくれているので、それが良いパフォーマンスにつながっています」
ファジーカスは自信を持ってプレイできていることが開幕からの活躍につながり、チームを首位に導く原動力となっている。
役割を見失い、気を遣いすぎて歯車が狂った辻
対する辻は、自信を喪失したかのような彼らしくないプレイが続いていた。持ち味のシュートもどこか迷いがあるように感じてならない。
辻「最初はたしかに気を遣っている部分があり、その迷いがプレイにモロに出てました。そこからシュートもおかしくなって、全てがおかしくなっていき……本当におかしかったです。自分でもプレイしてる心地がしないみたいな」
ー 何に気を遣っていたのか?
辻「(オンザコート2に)ルールも変わり、自分の役割が何かを見出せずにいました。そういうところを考えすぎてしまって、落ちていってしまった感じです」
ー 日本代表活動があったために、チーム練習が足りなかったことも不安の要因か?
辻「それもありますが、開幕直前まで(セドリック)ボーズマンがケガをしていたこともあり、なかなか一緒に練習する期間も無かったのもひとつとしてあったかもしれません」
9月28日の開幕戦から1ヶ月間の10試合では平均9得点。3P%は35.8%。普通の選手であれば悪くない数字ではあるが、辻はそんなものでは物足りない選手だ。