高校、大学では、チームを引っ張って来た井手。しかし、その後の2年間は自分を表現できない状況に追いやられていた。新天地となる東京にやって来て、その役割は再び中心に戻って来た。人は、人のためになれば、さらなる力を発揮する。スタッツだけを見れば一人で得点を挙げているように映るかもしれないが、井手はしっかり周りを見ており、そして周りもまた井手を見ている。それが東京のチームワーク。
オフェンスだけではなく、ディフェンスやルーズボールもアグレッシブに行く、まさにコートの中ではノリノリな東京。
「ミスしても良いよ、と声をかけ合いながらできるのが東京の良いところです。悪い流れになっても、誰もミスを責めずにみんなでディフェンスからがんばってやり直せば良いだけのこと。そういうチーム作りをしていますし、その気持ちが無ければ下克上もできない。チームワーク良いバスケを見せたいですね」
ノリノリで選手たちが楽しみながらも、堅実的な成長プラン
心底バスケを楽しみながら下克上を目指す。
若さと勢いだけと思われるかもしれないが、井手のプレイオフまでのプランを聞けば、それは現実味があり、堅実的だ。
「最初からトップにいる必要は無いし、プレイオフに入ってから調子が上がれば良いとも思っています。レギュラーシーズンは、全カードを1勝1敗で行けば、自ずとプレイオフに行けるはず。だからこそ今日の試合は勝ちたかったんですけどね。あそこで勝ちきれるのが秋田の強さであり、経験の差。これを繰り返さないように僕らもしっかり経験を積んでいきたいです。あまり先のことは考えず、しっかり目の前の試合に集中していくことが大事」
勝率5割でのプレイオフ進出を第一の目標としながら、一歩一歩階段を上がるような成長段階を見据えていることに少し意外性を感じる。同時に、強くなりそうな雰囲気も漂わせていた。
技術よりも気持ちが大事。技術は練習さえすればいくらでも向上できる。気持ちで引くことなく、ノリノリでバスケを楽しんでいる。選手たち自ら熱を発しているからこそ、自ずと周りも熱くなっていった。パッとしない第一印象だったが、FC東京と同じような攻撃的な試合を見せられ、興味が沸いた。やはり現場で、会場で目の当たりにしなければ、バスケの楽しさは伝わって来ない。東京は今週末(10月26日-27日@大田区総合体育館)もノリノリなホームゲームが待っている。
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井手 勇次選手オフィシャルブログ
文・泉誠一