ヒーローにはなりきれなかったがインパクトは残したホームゲーム
突如現れたポイントゲッターに対し、修正して臨んだ翌日の2戦目。沖縄は執拗に井手をマークをし、シュートに行くチャンスを6回しか与えず、8点に抑えリベンジを果たす。スカウティングされて臨む次節の秋田もまた、同じくマークは厳しい中ではあったが、19日は16点、20日は23点へと得点を伸ばし、敗れはしたが井手は自分の仕事を全うした。接戦となった2戦目。秋田に3Pで逆転を許した後の残り11秒。スローインからボールを受けた井手は、タフショットながら70-70と同点に追いつく3Pをねじ込んだ。
「入れる気持ちはもちろんあった。セットプレイでチームが僕に任せてくれてボールを預けてくれた分、気持ち良く打てたので、そこは僕自身だけの力ではないです。ただ負けちゃったので、ヒーローになりきれなかったですけどね」
昨シーズンまでプレイタイムを与えられなかった井手だが、東京に来ておもしろいようにゴールへ向かう姿は楽しそうであり、インパクトを残した。
「他のチームを見ても外国人が一人でやってしまうことが多いですが、東京の外国人はマジメですし、ノリも日本人と合っています。若いノリノリのチームなので、すごく良いコミュニケーションが取れているんだと思います。やっぱりバスケはチームスポーツであり、全員でやることが大事。そこが東京の強みでもあるし、お互いに信頼し合えています。先輩たちともフランクに話せるし、外国人も自分を犠牲にしながら良いスクリーンをかけてくれますので、すごく気持ち良くプレイさせてもらっています。その点は感謝しています」
井手の得点力が開花したことにはもう一つの要因がある。それは、非公開で行われた昨シーズンのチャンピオンである横浜とのプレシーズンゲームの時だった。「その頃の井手はまだシュートに行くのに対し、躊躇していたところがすごくありました。彼にはもっと積極的に打って良い、と伝えたところ、得点を獲る自信はあります、とハッキリ答えてくれました」青木HCとの対話が井手のリミッターをカットするきっかけとなり、今シーズンの活躍につながっている。
ガンガン強気でメンタル勝負!
ノリノリの井手だが、弱いと公言する東京にとって、相手にアジャストされれば、その活躍があっという間に形を潜める可能性も考えられる。しかし、井手はさらにノリノリでその対処法を発表した。
「ガンガン強気でメンタル勝負!」
その標語のような対処法をさらにかみ砕いて説明してもらうと…。
「相手にタフにつかれても決められるようにしたい。沖縄との開幕戦でシュートが入ったことで、それ以降は執拗にマークされています。特に昨日(10月19日の秋田戦)はファウルを取ってもらえなかったところもあり、フラストレーションも溜まってしまいました。逆に今日は、強引にアピールしながらもファウルをもらうように仕掛けていきました。そうすれば相手も下がるのでスペースができます。今日は審判もファウルを取ってくれた分、ディフェンスも甘くなり、その隙にシュートを決められました。今後もマークが厳しくなろうがやることは変わらないし、引くつもりもない」