コンディションUPが第一だが、シーズン途中参戦の難しさでもある
入団記者会見は昨年末に行われたが、チームに合流したのは1月中旬。最初はスターティングメンバーの相手となるBチームで調整を行っていた。2月2日のデビュー戦で先発起用されたが、それまでBチームだったこともあり、「マーシャル(・ブラウン)や(アンソニー・)ケントとプレイしたのは試合に入ってからです」。
モントロス・クリスチャン高校でのラストシーズンを終えた後、なかなか次のステップが決まらなかったことで、10ヶ月ほど実戦から遠ざかっていた。自ら志願したプロの道だが、その準備は万全とは言えない状況のままスタートした。
外国人とのコンタクトにも慣れているはずだが、やはりプロは勝手が違うようで、試合中もお腹をさする仕草を見せていた。「コンタクトがすごいのでエルボーがよく入ります。でも、それは仕方ないこと。アメリカの高校生と比べても、ちょっと当たりの感じは違いますね。プロの選手たちは強いと言うよりも重く感じます。スクリーンの時でも重いです」と、プロの違いを身をもって実感している。
「まずは自分の脚力を100%戻すことが先決です。オフェンスはまだ良いですが、ディフェンス面で足がついていかないこともまだまだあります。スクリーンの対応など5on5の形式をやって来ないまま試合に入ってしまっていますので、その辺の調子や感覚が戻ってくればディフェンスでも活躍できると思っています」。
コンディションがまだ不十分なために、メンタル面など他にも影響を及ぼしているのかもしれない。この取材を行った2月23日(土)の千葉ジェッツ戦は、ヘッドコーチに求められている得点がデビュー以来初となる0点に終わった。さらに19点差を付けてリードしていた秋田だったが、3Q終盤のオフェンス時、高い位置でパスミスが生じ、相手にリズムを持って行かれてしまう場面もあった。
「あのミスは富樫がどう処理するかを考えなければいけない。富樫の役割だ。今日は相当屈辱的であり、ざまぁみろと言う感じです」と豪快に笑う中村ヘッドコーチ。
大型新人選手と期待されても、やはり高校を卒業したばかりのルーキー。「アメリカではアシストをメインとしてプレイをしていて、秋田に入ってからも正直言ってドライブしながらも空いてる選手を見ながら、アシストを第一に考えてプレイしていました。まだ難しい部分もありますが、ヘッドコーチに求められる得点を獲ることに対して、もっと確率を上げていきたいです」と悩みながらも、ヘッドコーチに求められるプレイを全うしようともがいている。
温かく大事に育てたい
富樫が悩んでることは中村ヘッドコーチは百も承知。
「最初はAB型だし、どうでも良い考え方の持ち主だと思っていたが、やっぱりまだまだ19歳。高校時代はアメリカで全くシュートに行かないプレイをしていたのに、中学校の時以来シュートを狙えと言われているわけだから、シュートに対して今、相当悩んでいる。それと、これまであまり怒られた経験が無いので、あの子のためにも今はあえてガツンときつく言ってる。それをはね除けてもらって、成長して欲しいと期待している」。
当日会場で配られたマッチデープログラムのアウェイ秋田を紹介する欄には、「ストップ・ザ・ニュースター」という見出しで富樫のことを警戒していた。その期待値はすでに秋田県内だけの話では無い。その期待と重圧を踏まえながら、「でも温かく、あったかく、大事に育てて行きたい」と、中村ヘッドコーチは柔和な笑顔で答えていた。
- 3月2日(土)18:00 秋田vs島根@能代市総合体育館
- 3月3日(日)14:00 秋田vs島根@能代市総合体育館
- 3月9日(土)18:00 埼玉vs秋田@所沢市民体育館
- 3月10日(日)14:00 埼玉vs秋田@所沢市民体育館
text by IZUMI