インサイドではいずれも195cmの#32長谷川武、#73落合知也、#8山本修二がハッスルしている。
「落合は成長著しい選手であり、自分の存在感を出せる場がNBDL。この調子でさらにがんばってもらいたいです。同時に山本はもっとできるはずです。ものすごく正直でがんばる男であり、みんなに好かれるタイプですが、それが相手にも読まれるぐらい正直さを出してしまう点は良くないので、そこが課題です。しっかり成長して欲しいです」
リバウンドもさることながら、東京海上日動のファイをペイントエリアから押し出す体を張ったディフェンスが効いていた。昨年、長谷川武は#24長谷川聖とともに3×3日本代表としてアジア選手権へ出場。落合もまたUNDERDOGのメンバーとして3×3 WORLD TOURで、それぞれ体格良い猛者どもとぶつかり合った経験が生かされている。
失いがちな志を持ってコートに立つプロ意識
昨シーズンから復活した大塚商会だが、それ以前となる2006-2007シーズンまで日本リーグに所属していた3シーズン時も練習場所や時間の確保ができずにいたという話は聞いていた。
「今もやっぱり厳しいですが、それでもやれることはたくさんあります。テクノロジーも進化しており、映像を共有できたり、メールで連絡を取り合ったりしています。集合時間を早めたりしながら、少しでも時間を作るように努力していますし、学生時代よりも部活をやってる感じがしています。また、選手たちの意識も高く、プロ選手には申し訳ないですが、失いがちなその気持ちを失わず、締まった志を持った選手たちだからこそ、コートに立てるありがたみを分かっています」
遠征時、初戦で敗れた翌朝は6時から駐車場に集まって、動きの確認をしたりもしているそうだ。
選手たちに芽生えているプロ意識。それは長年に渡りプロでコーチしてきた青野HCだからこそ、指導の中で自然に浸透していったとも考えられる。
「正直言って、空回りしていた時期がありました。こちらが伝える要求にも、選手たちにとっては『何を言ってるんだ』となり、こちらが下に降りるのか、選手たちのレベルが上がるのを待つのが良いのかという葛藤もありました。その時に、凝り固まった形で『高いレベルはここだ』と決めつけずに、適材適所、選手たちの長所を高めた形でのシチュエーションを説明するように切り替えました。特にこの試合はタイムアウト明けの実行力がすごく良かったです。シュートは入らなかったけど、きちんとノーマークでシュートを打てていたり、ディフェンスでもやられたけど良いトラップができていたりなど、そういう仕掛けが随所に出ていました。ここから上向いて行くと思います」
献身的なプレイ──それこそ日本人の強み
大塚商会にとって、そして青野HCにとっても、今シーズンを終えた時にターニングポイントと言えるかも知れない、今シーズン初の2連勝。7勝13敗で現在7位。プレイオフ圏内となる4位にいる豊田合成スコーピオンズまで、たった2ゲーム差。混戦のNBDLを抜け出すためにも必要なのは、「やっぱりリバウンド」を挙げた。
「日本人のファーストショットは結構落ちたり、ディフェンスでも守れているのですが、身長差ある外国人選手にタップシュートで簡単に決められてしまいます。相手にオフェンスリバウンドを獲られてセカンドチャンスを決められたり、こっちのオフェンスもワンチャンスで終わってしまう。上位チームとのリバウンドの差は大きく感じます。具体的に言うと、エクセレンスはそういう感じがありますが、豊通名古屋の外国人選手はさらにチームに献身的にプレイします。単に個の力よりも、チーム力で戦う豊通名古屋の方が対戦していて力は上だと感じます」
献身的なプレイというキーワードが出た。それは日本人チームだからこそ強みになるのではないか?
「そうなんですよ!そこなんです。心を折らずに最後まで戦い続けることでチームが強くなるし、そうならないといけない。自分がこのチームですごく学んでいるのは、選手たちの成長過程です。今までのプロではシーズンの勝敗で評価されましたが、大塚商会では全体像を見ており、育った選手がいるかどうかを見られています。あまりそういうのは得意ではなかったのですが、全員が底上げできるような声がけをしながら、今後も一つでも多く上位チームを食えるところにつなげていきたいです」
9チームで行われているNBDLは、毎週末必ずオフとなるチームが一つ出る。今週末、その番が回って来るのは大塚商会。2連勝した良いイメージを持って、練習時間に費やせる貴重なオフとなる。そして再来週2月8日(土)9日(日)はレノヴァ鹿児島@いちき串木野市総合体育館、翌週は豊田合成スコーピオンズ@大田区総合体育館と、プレイオフ争いをするライバルチームとの対戦が控えている。
泉誠一