すでにプレイオフ進出が消滅したNBLウェスタンカンファレンスの3チーム。兵庫ストークス、そしてチーム名と運営会社は変わったがつくばロボッツはJBL2から上がって来たチームである。和歌山トライアンズはその名の通り、昨シーズンで休部となったパナソニックトライアンズを継承し、半分は元パナソニックの選手たち。NBLの中で唯一、一から立ち上げた生粋の新規チームが熊本ヴォルターズだ。
熊本は、外国人選手の入れ替わりや今もケガ人が出たり、落ち着かない状況を強いられて来た。プレイオフ争いから脱落した今だからこそ、開き直ってチームをビルドアップできるチャンスでもある。レギュラーシーズン残り12試合(3月18日現在)をどのようなモチベーションで臨むのか?
プロ選手として、チケットを買って会場に足を運んでいただくお客様のためにもおかしな試合はできない。
「諦めたくない。その気持ちで毎試合を臨んでいます。熊本でバスケをすることが自分の仕事でもあるので、諦めてしまったらここにいる意味もなくなってしまいます」
取材した3月15日のトヨタ自動車アルバルク東京戦。前半で60-30のダブルスコア。20分間で30点差をつけられた熊本であったが、諦めることなく力強いダンクをかましたデボーン・ワシントンが、大差で敗れた試合後に話を聞かせてくれた。
NCAAトーナメントでWダブルの活躍
バスケを生業とし、異国の地にやって来た以上、明確なビジョンがあったはずだ。「自分の身体能力を生かしたプレイをしたいと思って来ました。今でもコーチはそれに合わせてチームを作ってくれていると思いますので、自分のやりたいバスケはできています」
ワシントンが生まれ育ったアメリカでは、まもなくNCAAトーナメントが始まる。オハイオ大学出身のワシントンも、2010年NCAAトーナメントに出場。1回戦は、3位ジョージタウン大学を相手に12得点/10リバウンドのWダブルをマーク。14位であったオハイオ大学がアップセットし、2回戦へと勝ち進む。続く6位テネシー大学には68-83で敗れたが、ワシントンは16得点/8リバウンドを挙げる活躍を見せた。全米を熱狂させるビッグイベントを経験したワシントンだが、NBLとの違いをどう感じているのだろうか。
「カレッジ時代はファンがクレイジーなくらいに応援してくれましたし、ヨーロッパでも同じような熱狂がありました。でも、日本のファンの方々はとても静かだな、という印象を受けています」
大学卒業後は、トルコやオーストリアなどのプロリーグでプレイ。昨シーズンプレイしたオーストリアのライファイセン ウェルズはすごく小さな街にあったが、それでも会場は盛り上がっていたそうだ。それに比べて熊本は、「大きくも小さくも小さくもなく、ちょうど良い」という印象を持つワシントン。「焼き鳥が一番美味しい。あとは牛丼も好き」と話しており、日本の生活にもしっかり順応している。