FIBAからの制裁は免れない状況──
“会長が辞任したところでFIBAが許すわけでも、リーグが統合するわけではなく、問題の解決には至らない”という指摘に対し、「謙虚に受け止めねばならないと思っています。しかし一方では、責任者としてやってきたことが成就できず、見通しが立たなかったことについて、けじめとして責任を取って辞することは組織運営上必要なことだと思っています。そのことがFIBAに対して何か良い材料になるということではありませんが、組織はその都度都度、責任をもって運用していくわけであり、責任を果たせなかったことでの辞任は常識的な判断だと思っています」と深津会長。
統一プロリーグへ向けた3者会議は、深津会長だけがリーダーではなく、NBLとTK bjリーグのそれぞれのトップがヒザをつき合わせて議論を重ねてきた。それぞれが意見をぶつけ合い、リーグ構造の草案作成まで漕ぎつけたのに、チームの理解を得られなかったのは両リーグトップの責任でもある。辞めるべきは、そして責められるべきは深津会長だけではないはずだ。しかし、NBL丸尾充理事長も、TK bjリーグ河内敏光コミッショナーも、登壇を拒みこの日は姿を見せることは無かった。
「日本バスケ界がより前進していくために、一刻も早く新体制に移行することが重要だと考え、本日辞意を表明した」
これまでスピードを感じられなかったが、ここに来て早い決断をされた深津会長。この辞任会見が行われていたのと同じ時間に、次の体制についての議論が行われていた。副会長であり、NBL理事長の丸尾氏が会長職務代行に選ばれ、深津会長が託した新体制はすでに発足したわけである。
FIBAへの回答期限まであと1週間。
丸尾会長代行となり、今こそ河内コミッショナーと共闘し、今日もなお議論を続けてもらいたい。大逆転の両リーグの合意に至ることができれば、彼らはパイオニアとなり、後世に名を残すことになるだろう。
前回の報告会で、丸尾会長代行は、「JBAのガバナンスが一番大事であり、ガバナンスがしっかりしていれば強化の問題も整理でき、リーグ問題も整理できる」と話していた。今、そのガバナンスを牛耳れる立場にある。
一方、河内コミッショナーの「スタートするのは2016年ですから、意外と時間がある」と言う発言に疑問を抱く。現時点でリーグ統一への合意に至らず、このまま行けばFIBAからの制裁は免れない。日本の資格停止により、日本代表全カテゴリーの国際試合への参加ができなくなるのだ。悠長なことを言ってられず、各リーグだけの問題ではないことを分かってもらいたい。
来年、リオデジャネイロオリンピックへ向けたアジア予選が待っている。男子はもとより、昨年アジアチャンピオンとなった女子日本代表は、2連覇を果たせばオリンピック出場が決まる。今月、来年のU-19世界選手権を勝ち獲った女子U-18日本代表にとっても、このまま行くと出場できない事態を招く。
リーグ同士の意見が平行線のまま、それぞれこれまでと変わらぬ興業をしていくことはできる。当事者たちにとっては何の痛手にもならないだろう。しかし、そのしわ寄せを強いられるのが全てのバスケ選手であり、バスケを愛するファンであることを忘れてはならない。
「日本代表の強化や海外遠征等の企画をすでにされているわけですから、そこに影響を及ぼすことを極力少なくするよう進めていかねければなりません。選手に対しては、仮に制裁を受けたとしたら本当にお詫びの言葉も無く、申し訳ないと思っています。1日でも早く解除できるように、努力していかなければなりません」
統一プロリーグは今年中に参加要件をまとめて公募をスタートさせ、来年3月には締め切り、2016年発足へ向けたスケジュールに変わりはない。参加要件がまとまるということは、両リーグ間での合意に至るという結論が出た証。制裁が下されても、FIBAから課された問題をクリアし、納得させればその時が解除されることで話はついている。
「来年3月へ向け、お互いの立場を尊重し合えば折り合って行けると思っています」
1日も早い解決へ向け、やっぱりあきらめてはいけないのだ。そして今、両リーグに携わっている方々こそが、明るい未来が切り拓くことができるパイオニアであることを忘れてはいけない。厳しい道のりではあるが、より良い道を前進し、歴史にその名を残せっ!
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泉誠一