ケガで離れていた期間、俯瞰してチームを見ることができ、強みも弱点も把握している。劣勢となった神奈川大学戦のハーフタイムに入るや否や、古川貴凡監督と顔を寄せ合い意見を述べ合う。ベンチで休む4年生の #3 米須玲音や #12 コンゴロー デイビッドら主力メンバーの前に立ち、作戦ボードを取って後半の巻き返しを企てる。今シーズンは城間修平ヘッドコーチから古川貴凡監督へシフトチェンジして臨むインカレだからこそ、危機感を持ってリーダーシップを発揮していた。
「新体制になったことで今もどこに頼れば良いか、何かひとつ飛び抜けているものがないからこそ、チームとして協力しないと良いものを築き上げていけないと思っています。知識は持っている方だと思うので、それをみんなに共有してすり合わせて、どんどん良い方向に持っていくことがベストの形かなと思い、常日頃からしゃべるようにはしています。出過ぎているところもあるかもしれないけど、でも今のチームはそれぐらい話さなければいけない。悪い流れのときに相手に攻め込まれていたので、そこで切り替えを早くしていかなければいけないし、コート上でできる人も限られていました。そこは自分の仕事かなと思って、意見を述べました」
広島ドラゴンフライズU15での経験が、バスケIQを高める入口だった。「普通の中学校では教えてもらえないような、チームバスケの知識を教わりました。その導入部分を知ることができ、高校に進んでさらに知識を蓄えていくことができました」と泉はプレー以外も貪欲に吸収してきた。これまでインプットしてきた戦術などを日本一に向かう今、存分に発揮する。コンディションが万全ではないからこそ、泉はバスケIQでチームを勝利に導いていた。
日本一まであと2勝。準々決勝から1週間空くことでコンディションを上げ、チームの課題を修正し、15年ぶりの日本一へ向かう日本大学の中心に泉が立っている。
Bユース1期生たちが挑む大学バスケ日本一
・U15西宮ストークス出身・森山陽向(白鷗大学4年)の場合
・広島ドラゴンフライズU15出身・泉登翔(日本大学3年)の場合
文・写真 泉誠一