ラストイヤーに、はじめてインカレのコートに立つことができた。ベンチメンバー15人を選ぶにあたり、網野友雄監督は「やっぱりインカレでは4年生の力が必要」と白鷗大学のバスケを伝える役割に期待する。関東大学リーグでもなかなかベンチ入りできず、森山がコールアップされたのは10月5日、すでに11試合を終えた時期だった。その週の2試合は少ないプレータイムながらも出場したが、翌週はまたロスターから外されてしまう。ふたたびベンチ入りできたのは、10月26日の専修大学戦。その後は最終日まで出場機会を与えられ、リーグ終盤の活躍も網野監督は評価し、日本一へ向かうメンバーに抜擢した。森山もチームに貢献する役割を把握できている。
「ファーストチームとして試合に出ているポーグ(健)と比べれば、プレータイムも全然もらえないですが、コート上以外でもどんどんしゃべって盛り上げたり、コミュニケーションを取ったりしています。4年生がベンチにいる意味は、そういう部分でもあると思っています。率先してリーダーシップを執っていかなければいけないと考えています」
関東大学リーグでしのぎを削り合ってきた変わらぬ相手との対戦だが、「4年生にとっては最後の大会であり、これで終わりかもしれない、という緊張感は常に感じています。専修大学戦も前半まで競った展開だったので、もう自分がやるべきことをしっかりやり続けないといけないと感じながら、後半は戦っていました」と責任やプレッシャーは雲泥の差があり、それを感じるのもはじめての体験である。
専修大学に70-59で勝利した白鷗大学は、12月14日から群馬クレインサンダーズの本拠地であるオープンハウスアリーナ太田で開催されるファイナル4へ進む。先に女子バスケ部が優勝を決め、男子バスケ部の準決勝は昨年の決勝を争った東海大学に決まった。「もう少しで日本一にたどり着く感情はありますが、その中で浮き足立ってしまえば足元をすくわれてしまいます。また、ディフェンディングチャンピオンの肩書きはありますが、今年はまだ何もタイトルを獲っていません。目の前のタイトルをつかみ獲ることに執着していきたいです」という森山にとって、今年こそコート上で歓喜の輪に加わるカウントダウンがはじまった。Bユースでほんの少しプロの空気感を味わった森山だが、本気でバスケに打ち込むのはこれが最後となる。
「シュートを打つことが求められているプレーヤーではないので、チームの流れを良くするために自分ができる泥臭いことは徹底してやっていきたいです。残り2試合を楽しむだけです」
文・写真 泉誠一