試合になればポジション分けが必要になりそうだが、トランジションバスケとともに、フォーメーションはファイブ・アウトで5人全員が3Pシュートラインに並ぶような形でオフェンスがはじまる。「どのスポットを埋めていくかは、ディフェンスからオフェンスに切り替わった瞬間にコート内の選手たちがそれぞれポジションを決めて動きます。ビッグマンがドリブルを突いてボールをプッシュすることもありますが、まだまだ失敗の方が多いです。ミスを恐れずにいろんなチャレンジをさせることが第一歩です」と流動的にポジションが変え、経験値を積ませながら技術向上を狙っている。
スモールサイズでもゴールにアタックし、シュートまで行ける選手を育てたい
ポジションアップが活性化していくことで、小さい選手たちにとっては先がないと思われる恐れがある。岩井ヘッドコーチもその点を危惧するとともに、U15チームは大きい選手たちばかりではない。「試合の中での戦術的な判断やリーダーシップ、ゲームの作り方をより色濃くプレーをさせることが大事になります」と小さい選手ならではのメリットを最大化させている。
Bリーグがベンチ登録できる外国籍選手が3人となり、さらにアジア枠&帰化選手が増えたことが、ポジションアップが活性化しているひとつの要因である。バスケは大きな選手が有利であることも否めない。しかし、Bリーグなど国内においては小さい選手たちこそ人気が高い。田臥勇太(宇都宮ブレックス)をはじめ、富樫勇樹(千葉ジェッツ)や河村勇輝(東海大学)がファンを呼ぶスターであり、マーケットを考えても大事な宝であることは歴史が物語っている。
「2シーズン前は東京Zにいた西山達哉選手は今、信州(ブレイブウォリアーズ)で活躍しています(※11月15日現在/平均12.2点)。西山選手はフィジカルが強いわけではないですが、シュート力があり、ドリブルと巧みな身のこなしがあるからこそ厄介な選手として活躍できています。富樫選手もそうですが、同じようにこのカテゴリーはどんどんシュートを打っていって良い世代です。もちろんシュートセレクションを考えさせなければいけませんが、それでも打たないことにはシュート力向上にもつながりません。昨シーズン、Bリーグでプレーした高校生の河村選手も積極的にシュートを打っていましたし(※三遠ネオフェニックスで平均12.6点)、見習う部分は多くあります。スモールサイズでもゴールにアタックし、シュートまで行くような選手を育てていきたいですね」
可能性しかないU15世代へ向け、オールラウンドで取り組む成長の最大化(後編)へ続く
文・写真 泉誠一