最初はみんな不器用でしたね(笑)
以前、大学バスケ界におけるポジションアップがトレンドであることに触れた。それに対し、アースフレンズ東京ZのU15チームは「チームのミッションである日本代表選手輩出に向けて、予測最終身長が高くなるであろう選手を中心に獲得しながら、ポジションを固定しないポジションレスのバスケットボールスタイルにしている」という情報が届く。早速、U15チームの岩井貞憲ヘッドコーチへお話を伺うとともに、練習見学の機会をいただいた。
「サイズやポジションに関係なく、全員に同じ練習をさせています。それを試合中にどうチャレンジさせるかの方が大事になります」
岩井ヘッドコーチへの取材は、U15チャレンジカップ2020(10月31日〜11月1日)を終えたあと、最初の練習日だった。最高身長196cmを筆頭に、平均181cmは参加した5チームの中で一番大きい。他の4チームの平均身長は173cmであり、群を抜いていた。ほとんどのポジションがミスマッチとなり、インサイドから攻めるだけで優位に試合を進められたはずだ。しかし──「それは成長の最大化にはなりません」という岩井ヘッドコーチは、プロを目指す選手たちの将来を見据えている。
「最初はみんな不器用でしたね(笑)。身体は大きいし、力もないわけではないのですが、3Pシュートが届かない。力の伝え方が分からないのもありますが、そもそもシュートを打っていなかった。コーナーから3Pシュートを打てば、ボードの横に当ててしまう。そっちの方が難しいんじゃないかと思うようなところからのスタートです」
新たなチャレンジに興味を持ち、理解をした選手たちはみるみると上達していく。「継続することで、ゲーム中にもシュートを決められるようになっていきます」という岩井ヘッドコーチだが、3年前のU15チーム発足時は手探り状態だった。「僕自身もはじめての経験でしたので、新しい発見をする日々でした」というチャレンジが実を結びはじめている。
大きい選手=センターという固定概念があり、このような取り組みは目新しく見えてしまうものだ。しかし、世界を見渡せばポジションレスが主流になっており、日本が世界に勝つためにもオールラウンド化が求められている。岩井ヘッドコーチは「ポジションアップやポジションレスが全てではなく、大きい選手にはもちろんポストプレーもしっかりと教えています。そこは小さい選手も同じです。いろんな技術がある中で、様々なシチュエーションでどれをチョイスすることが最適かを瞬時に判断しながらプレーできるように考えています」と話しており、選手たちの引き出しを増やすことがベースとなる。