勝てない日々を続けていた2シーズン目の群馬クレインサンダーズ。そんな中、昨年12月15日付でライアン・ブラックウェルHCを更迭。さらに、年明けから次々と外国人選手を入れ替え、前向きなチーム改革に着手しているのではないかと興味が湧く。2月までは毎月1〜2勝しか上げられなかった群馬だったが、3月に入ると成績がグンと上向き5勝5敗。プレイオフ争いを繰り広げる仙台86ERS、青森ワッツに一矢報い、奈良バンビシャスを連勝で下す。さらに当時首位だった秋田ノーザンハピネッツを94-89で破る大金星を上げた。テコ入れしたことが実を結び、ようやく結果に表れ始めた群馬にさらなる興味を抱く。
プレイオフ進出へ向けて連勝必至の王者・横浜ビー・コルセアーズを相手に、厳しい試合になると想定していた4月7日に行われたマンデーゲーム。予想通り、序盤は横浜がリードを奪う展開。しかし、2Qに入るとアグレッシブなディフェンスから群馬がすぐさま逆転に成功。さらにゾーンやフルコートプレスなどディフェンスを切り替えながらペースを握り、点差を広げていく。負けられない横浜は3Pで点差を詰める。ラスト4分を切った時点で76-74。二桁点差あった群馬のリードは、2点差まで迫られる。しかし、岡田慎吾がジャンプシュートを沈め、さらに小渕雅のスティールから再び岡田が速攻を決めた群馬が84-76で勝利。月曜日にも関わらずホームに集まったブースターと喜びを分かち合った。
言いたいことを言い合って来た選手ミーティング
「チームのモチベーションや雰囲気がすごく良かっただけに、初戦に負けたのは何だったのだろうと思ったくらいです。本当に今日の勝利は大きいですし、ここで負けていたら次から4連戦する強豪・岩手ビッグブルズに対しても100%のモチベーションで臨むのは難しかったと思います。モチベーション高く、チームワークで向かわないと勝てないので、次戦へ向けてしっかり準備したいです」
ライアンHCを更迭した12月15日より指揮を執る藤田弘輝HC代行は、確かな手応えを感じている。アグレッシブなディフェンス、リズムの良いオフェンスができていることが、チームの好調さだと見て取れた。
「ボールがしっかり回っていることで、全員が気持ち良くプレイできた試合でした。シュートが外れても、良いタイミングで打てていれば、気持ちを落とすことなくハードなディフェンスができます。逆に1on1を仕掛け、他の4人がオフェンスに参加しないような状況でシュートが落ちた時は、5人全員のディフェンスの士気にも影響します。やっぱりボールムーブメントは大切であり、それができたこの試合は大きかったです」
10得点を挙げた岡田は、落ちたシュートにも納得している。
「もちろん全部が入ったと思って、シュートを打つことができています。最後のレイアップの前に決めたジャンプシュートも自信を持って打てました」
目の前で繰り広げられたバスケットを見せられれば、なぜ群馬はここまで負け続けていたのだろうかと疑問にさえ思う。負け続けたシーズン中に行って来たことを岡田が話してくれた。
「試合後は毎回ミーティングしていますが、特に嫌な負け方をした試合の翌日は練習後に選手だけで集まり、みんなで言いたいことを言い合っていました。先週もやりましたが、その結果が今週、一つですが勝てたのでチームは良い方向に向かっていると思います。チームプレイがうまくいかなかったり、誰かがイライラしたり、雰囲気が悪い時には必ず選手ミーティングを開催してきました。今では、悪い雰囲気でも、良い場面でも、試合中にしっかりハドルを組んでコミュニケーションを取れるようになっています」
努力だけは昨シーズンから変えずに続けて来たこと
群馬の黒星先行は今シーズンに始まったことではない。新規参入した昨シーズンは14勝38敗、イースタンカンファレンス最下位。今シーズンも2月までは7勝27敗と散々な結果であった。しかし3月に入ると、簡単に連敗しないチームへと変貌を遂げている。
「今日の試合がまさに典型的でした。これまではディフェンスで崩れて追いつかれて逆転されて来ましたが、そこでガマンできるようになったのがこれまでの大きな違いです」
負け続けて来た過去と、勝ちきることができた現在の変化について、岡田が答えてくれた。