一番信頼できる日本人選手がいるのが富山
サム・ウィラードのビッグショットが決まり、74-71で横浜との接戦を制したこの日(3月9日)。1Qは23-14で、テンポ良くゲームを運んだ富山が9点リードしていた。リバウンドを奪って攻守が切り替わった瞬間、一斉に自陣へ走り出す富山は、日本人3選手が起点となり、どんどんボールを前にプッシュする。ナッシュHCも「理想的な形」と言う展開で一気に点差をつけた。
起点の一人である水戸がボールを持つと、さらにスピードは増す印象を受ける。得点力はルーキー時代から定評があり、これまでも注目してきた選手だが、来月4月23日には29歳を迎えるとは思わなかった。まだまだ若手と思っていたが、しっかり年月を重ねており、それはプレイにも現れている。
「具体的に何が変わったかは分かりませんが、これまで積み上げて来たことなのだと思います。今シーズンはこれまでの足りない部分を補ってくれる選手の補強がうまく行ったことで、一人ひとりの役割がしっかりできています。昨シーズンから積み上げて来たことで、自分が行くべきなのか、つなぎに回るべきなのかが、感覚として理解できるようになりました。ルーキー時代の僕は、ただ走るだけという感じで、速攻でレイアップを決めるだけであり、そこからのスタートでした。今ではいろんなことができるようになったという自信はあります。それも、良い指導者、良いチームメイトに巡り会えたおかげです」
頼もしく感じた日本人3選手の活躍について、水戸自身はどう感じているのだろうか?
「城宝さんにしても、藤江にしても、オフェンス能力がすごく高いです。やっぱり積極的に攻めることで最悪ファウルももらえますから、そういうプレイで点数が伸びています。僕は一番信頼できる日本人選手がいるのが、富山だと思っています」
仮説として挙げた日本人選手の二桁得点がチームの順位に反映することに対し、実証するような水戸のコメント。そして、富山は実際に強い。イースタンカンファレンス現在2位だが、首位秋田、そして3位岩手にも直接対決では3勝1敗と勝ち越している。
有明に行くこと自体は通過点──目の前の試合を大事にすること
首位まで1ゲーム差。1位通過することでプレイオフを少しは有利に戦うことができ、ホームゲームの権利を得てブースターを味方にできる。しかし、ナッシュHCは急がずに足下を固めながら歩みを進める姿勢は変えない。
「順位よりも、残り試合でしっかり自分たちが成長し続けることを目標にしています。毎試合毎試合を勝っていくことが、結果として順位が付いて来るだけ。1位を目指すことよりも、目の前の試合を大事にすること。秋田も岩手も素晴らしいチーム。周りを見ずにまずは自分たちのプレイをしよう、とトレーニングキャンプ1日目から一貫して選手たちには伝えてきました」
チーム内で唯一、富山県出身の水戸。地元でプレイすることこそが大きな力になっている。
「今日も高校時代に対戦相手だった友だちが応援に来てくれましたし、地元はいろんな人が見に来てくれますので、いつも勇気づけられています。逆に緊張する場合もありますけど…。アウェイにもたくさんのブースターがバスツアーで駆けつけてくれるので、やっぱり力になっています。アウェイでもホームのような感覚で試合ができるのは、本当にありがたいですね」