一呼吸置く間際に出た言葉は「太田がいたからこそ、僕はフェニックスというチームでコーチすることを選んだわけです」、そこから堰を切ったように日本代表についての話題に拍車がかかる。
2020年を担う14歳から30歳の日本人選手の中で、205cm以上ある選手は3人しかいないそうだ。確かに高校や大学の全国大会をチェックしても205cm以上はおろか、2mを越える光る選手は見あたらない。アジアのライバル国同様に早く帰化選手を探して育てるべきだとも感じている。
東野HCが挙げた3人とは、竹内公輔(206cm/トヨタ自動車アルバルク東京)、譲次(207cm/日立サンロッカーズ東京)、そして太田(206cm)のことだ。
「帰化選手も必要になってくるとは思いますが、日本もインサイドで得点を獲っていかねばならないです。これまで得点はシューティングガードだけに任せており、それだけではやっぱり将来がない。竹内兄弟や太田らゴールデンエイジと呼ばれているわけだからこそ、今からでもしっかり伸ばしていきたい。だから、太田にもどんどんインサイドで体を張ったプレイをさせています」
世界を見て来た東野HCが手塩にかける原石たち
東京戦、ミスが続いて逆転を許した終盤、浜松の窮地を救ったのは太田のプレイだった。ペイントエリア内を動きながらノーマークを作り、エルボーからジャンプシュートを決めた。そこから3連続得点を挙げ、ディフェンスが寄って来れば交わしてパスを出して75-69、勝利を呼び込む立役者となった。体を張ることには自信を持っている太田だったが、この日のプレイはシュートレンジが広くなっている印象を受けた。
「まだまだ潜在能力を十分に出し切れていない」と言う東野HCは、太田に対してインサイドだけではなく3Pシュートの練習も課している。そういえば昨年の日本代表国際親善試合前のシューティングであったか、なぜか3Pシュートを打っていた太田の姿を思い出す。真面目な選手だからこそ、チームを離れても言われたことをしっかりこなしていた光景だったのかもしれない。
太田の改革に着手した東野HCが見据えていたのは、2013年8月に行われたアジア選手権であった。
「アジア選手権での太田の活躍を見越した準備だったのですが、プレイタイムを得られなかったのは鈴木 貴美一ヘッドコーチの決断ですので仕方ないことです。また、ヘッドコーチに信頼されなかったのも太田のせいです。でも、国際親善試合などその前は相当良いプレイを見せていましたよね。それをもっと拡大させるためにも、太田にとっても、僕にとっても大事な試合が続きます。1試合とも無駄にできません」
浜松にはもう一人、日本の将来を期待されるアキ・チェンバースがいる。
「彼を発見できたのはラッキーでした」と話す東野HCは、原石を見つけたことを喜んでいた。しかし、それを磨くことができなければ原石もただの石。bjリーグにも日本代表として戦力となり得る選手は、太田以外にも少なからずいるはずだ。日本代表元アシスタントコーチとしてアジアはもちろん、ヨーロッパ、南米と飛び回り、日本代表に足りないものを知っている東野HC。フェニックスを通じて、原石たちを手塩にかけて磨いている。
アキ・チェンバースにも話を伺っているので、その模様は次号誌面または後日当サイトにて紹介したい。
★bjリーガー唯一の日本代表・太田敦也選手も出場するオールスターゲームは1月26日(日)秋田市立体育館にて開催!
2月1日(土)18:00 群馬 vs 浜松@館林市城沼総合体育館
2月2日(日)14:00 群馬 vs 浜松@館林市城沼総合体育館
2月8日(土)18:00 浜松 vs 大分@浜松アリーナ
2月9日(日)13:30 浜松 vs 大分@浜松アリーナ
泉誠一