10月17日、対サンロッカーズ渋谷戦で開幕以来初の白星を挙げた秋田ノーザンハピネッツ。
35分コートに立った中山拓哉は疲れを感じさせないアグレッシブなプレーでチームを牽引した。今シーズンからポイントガードを務める場面も増え、まだミスはあるものの、そこからの切り替えの早さは魅力の1つと言える。返り咲いた1部の舞台では「厳しい戦いが続くと思いますが、自分もチームも戦いながら必ず成長していきます!」と力強く言い切った。
――開幕5戦目にして待望の1勝を挙げました。今日の試合を振り返って感想を聞かせてください。
試合には勝てましたけど、個人的にはターンオーバーも多かった(6本)し、ゴール下で競り合ったときのツーポイントの確率も悪かったので、全然納得していません。勝てたことはもちろんうれしいですけど、自分たちのミスから走られた3ピリのような戦いをしていたら次は勝てないと思っています。僕や小野寺(祥太)がもっとしっかりゲームコントロールしなきゃだめだと、いろいろ反省点も多い試合でした。
――ジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチからはどのようなことを求められていますか?
やはりディフェンスでは相手の外国籍選手にもつくので、1対1で負けちゃいけないということは言われています。またオフェンスだったら僕がアタックして得点を取るだけじゃなくて、クリエイトもしろと言われてます。どちらにせよアグレッシブにやれということですね。
――それは常に心がけている?
そうですね。さっきも言ったようにターンオーバーが多かったのは反省点ですけど、躊躇して犯したミスというより攻めた結果のミスでした。当然ターンオーバーはしてはいけないことですし、ミスを減らすためにはもっと自分の精度を上げて行く努力が必要だと思っています。ただ、消極的なミスより積極的なミスの方が自分の中ではマイナスのイメージが少ないです。
――東海大の先輩であるベンドラメ礼生選手とマッチアップする場面もありました。
もうやる前からすごく楽しみでした。マッチアップする時間は短かったですけど、やっぱり燃えましたねぇ(笑)。京都の伊藤達哉とか北海道の関野剛平とか、今シーズンからは三遠の寺園脩斗とか、大学の同期がみんなB1のチームなのでこれから戦えると思うとモチベーションが上がります。あいつらのスタッツは必ずチェックしてるんですよ(笑)
――負けられねぇ!という感じですか?
もちろんそれもありますけど、それと同時にあいつらが活躍しているとなんかうれしい。僕らの代にはスーパースターがいなくて、地味だけど泥臭くコツコツやってる選手ばかりだったので、余計にそう思うのかもしれません。特に僕と関野は途中でBチーム(㊟東海大にはAチームとBチームがある)に落とされそうになった選手ですから(笑)。その関野をはじめ同期が頑張っていることはものすごく刺激になります。
――今シーズンからポイントガードの役割も担うようになりました。苦労はありますか?
大学時代もB2の去年もポイントガードはやってなくて、トップポジションに立つことも少なかったんですね。ゲームをコントロールする仕事はほとんどやってきてないんです。だから今は必死にそれを学んでいる最中です。ポイントガードとしてのリーダーシップとか判断力、コントロール力はこれからもっともっと身に付けていかなければなりません。
――今日の出場時間は35分を超えました。今シーズンは平日開催も多いですが疲れは感じませんか?
感じます(笑)。でも、沢山のプレータイムをもらっていろんな選手とマッチアップできるのは間違いなく自分の財産になると思うんですよ。たとえば今日は渋谷のライアン・ケリー選手(211cm)とマッチアップする場面がありましたが、向こうは自分よりずっと格上の選手です。そういう経験はとても貴重ですよね。
――臆するところはないですか?
それはないですね。外国籍選手とマッチアップすることはB2時代からやってますから、ビビることはないです。っていうか、自分の1番の武器は『気持ち』だと思っているので、気持ちで負けることはありません。
――まだ5試合を消化したばかりですが、B1とB2の違いを感じることはありますか?
あります。やっぱりB1はチームにしても個人にしてもプレーの質が高いと思います。B2の中にはエースの外国籍選手に頼りっきりのチームもあって、その分押さえるポイントもわかりやすいんですが、B1ではみんなシュートが入るし、どこからでも攻めてくるイメージがあります。けど、コーチがいつも言うのは「相手がどこであろうと自分たちのバスケットを100%やりきれ」ということ。僕もそれが1番大事なことだと思っています。
――今シーズンはチームの顔とも言えた田口成浩選手が千葉に移籍し、外国籍選手を含め7人の新メンバーを迎えました。様変わりしたチームの雰囲気はいかがですか?
雰囲気はいいですよ。開幕戦から4連敗したときも下を向くような選手はいなかったですし、その負けにとらわれるのではなくて、次はどうすればいいのかみんなで考えるという感じでした。東地区は強豪揃いでヤバいと言われてますが、5戦目で初めて東地区の渋谷と戦って勝てたことは自信にもなりました。反省点はいくつもありますけど、とにかくディフェンスを核としているうちが相手を58点に抑えて勝てたことは素直によかったです。気持ちよく秋田に帰れます(笑)
――今日は平日の夜の試合にも関わらず秋田から沢山のファンが応援に来てくれてましたね。
それはもう本当に感謝してます。秋田のブースターさんは熱くて温かいんですよ。秋田に住んで感じるのは人の温かさとメシのうまさです。お米がおいしいのは有名ですが、海が近いので海産物もうまいし、山もあるのでいろんな山菜も楽しめる。ほんとに何を食べてもうまいですよ。秋田の人同士が早口で喋ってると、最初のころは何を言っているのかちょっとわからなかったんですが、今ではしっかり理解できますし(笑)。大雪だけは苦手ですけど、あとは文句なしです!
――チームとして、個人としての今シーズンの目標を聞かせてください。
チームとしての最低限の目標は1部残留です。でも、これは最低限の目標であり、戦いながら成長してチャンピオンシップに出場することが次の目標ですね。個人としてはチームを勝たせる選手になりたいです。「秋田と言えば中山」と言われるような、“秋田の顔„を目指して頑張ります。
文・松原貴実 写真提供・Bリーグ