榎田が重宝されているのは、長崎ヴェルカと越谷アルファーズでプレーしたB1経験者という点も大きい。チームで他にB1の経験を持つのは、富山グラウジーズから移籍してきた喜志永修斗だけ。その喜志永とはよくコミュニケーションを取るそうだが、B1の経験がない選手のマインドをいかに引き上げるかという点は気を遣うところもあるようだ。

「喜志永と僕が経験してることはチームにも上手く流せるようにしたいと思ってるんですけど、それが全部は上手くいかないところもある。1人ひとりが持ってる意識がもうちょっと上がれば絶対良いチームになるというのがある中、そこをどういう声かけをしたらいいのかというのは僕も上手いことできなくて、伝えていきたいこともありながら、選手1人ひとりの考えやプライドもあるから、そこが上手い具合にマッチしないと応えてもらえない。どれくらい自分の意見を言えばいいのか、そのバランスが難しいです。
長崎時代は狩俣(昌也)さんのような経験のある人がメンタリティーの部分を伝えてくれてて、僕もルーキーだったので身にしみた部分がありました。でも長崎と山口は環境も違いますし、僕が今そういうメンタリティーを持ってるかといったら完璧ではないので、伝えたいけど伝えきれない、自分にもその覚悟がないというのがありますね」
もちろん、B1クラブに在籍した経験は榎田にとって貴重なものだった。長崎ではB3とB2も経験しているが、越谷時代も含めて周囲には常に経験値の高いチームメートがいた。その中で得たものが今の榎田の土台を形成。ここからは自身がそれを周囲に還元する立場になっていくということ、それがキャリアにおいて大きな意味を持つということは本人も十分に自覚している。
「もちろん試合に絡めたときも、絡めなかったときもあって、試合に出られないときって人は下を向きがちだけど、そこでどう頑張れるかというのをすごく学んできたと思います。準備の大切さというのも教わりましたし、今試合に出てるからそれをおろそかにしてるわけじゃなくて、どういうときでも準備が一番大事。そう思えるようになった4年間でしたし、どのカテゴリーでもそういう環境にいられたことが僕の財産になってます。今年28歳になるので、次のシーズンがどうなるかはまだわからないですけど、経験してきたことを次の若手に伝えていきたいという想いは非常にあります。もう若手じゃないので僕自身の意識を変えないといけないし、大人にならないといけない。上手く伝わらないことを、自分が嫌われてもいいから言わないといけないという覚悟を持てたら、もう一つステップアップできるのかなと思います」

山口が他クラブより試合の消化が早いといっても、まだシーズンは終わったわけではないのだが、残り試合が限られているのは事実。2シーズン過ごしたB1からカテゴリーを変え、4シーズンぶりにB3でプレーした榎田にとって、今シーズンはどのような意味があったのか。気が早いのを承知の上で振り返ってもらうと、思うように勝てない経験も成長の材料と榎田は受け止めていた。そして、古巣の指揮官である越谷・安齋竜三HCの考えも心に刺さったということだ。











