チームがなかなか殻を破りきれない中、個人としては良い感触も得ていた篠山は、当然ながら対戦相手からの警戒がさらに厳しいものになっている。しかしながら、15シーズンに及ぶキャリアで様々な経験を積み重ねてきた男は、その壁もモチベーションに変えることができる。それほど、シーズン前半の手応えは確かなものだった。

「前半戦はスタッツ的にもなかなか良い感じでやれてたなと思うんですけど、その一方で年明けからありがたいことにちゃんとスカウティングされてるのを感じます。簡単に攻められなくなってきてるし、ピック&ロールを使おうとしても潰し気味にくるとか、意図的に右に送られるとか、『なんだ、私スカウティングしていただけてるじゃない』っていう試合が増えてきてる。そこを残りの試合で個として、チームとして打開できるかが次のチャレンジで、そこに関してはフラストレーションもありながら、自分がどこまでもっていけるかというのは楽しみなところでもあります。(水野)幹太の怪我というのはもちろんあるんですけど、前半戦も25~30分くらい出た試合もあったので、そこに対しては自信を持ってガードとしてチームをリードしていきたいという想いがあるのが一つ。あとはチームとしてどういうふうにノーマークのシュートを打つか、ディフェンスの質をどう高めるかが絶対にキーになってくるんですけど、『全員が脅威にならないといけない』というジェフさんの大きなテーマがある中で、そこは自分としては少しずつできてきてると思います。ディフェンスが仕事という選手にマッチアップされることが多くなってきて、その分津山(尚大)とか飯田(遼)のシュートが増えてきてるし、ディフェンスを崩せてることも多くなってると思います」
今シーズンの躍動ぶりを見るにつけ、2019年のワールドカップを最後に遠ざかっている日本代表への復帰も期待してしまうのは筆者だけではないだろう。折しも、直前に桶谷大HC就任が発表されるというタイミングで琉球戦を迎えた。絶好のアピールの機会であったことを問うと、篠山はこう答えている。川崎のウェアサプライヤーであり、自身もシューズを愛用しているアシックスに気を遣うあたりは流石としか言いようがない。

「『オケさん頑張れ』というのは伝えたかったなと思いましたけど……でも、今日は昨日よりはアピールになったかな。LINEは知らないんですけどインスタはつながってるので、DMしてくれればすぐに行きます。僕はもう現役中は代表が常に憧れだし目指してるし、せっかくジョーダンブランドに変わったので、ジョーダンブランドのグッズも欲しい。ジョーダンの練習着がカッコいいから、また選ばれたいですね。あ、アシックスは寛容な素晴らしい企業だからそのへんは大丈夫です(笑)」
FIBAブレイクを経て3月7日に再開するレギュラーシーズンは、残り約2カ月で21試合。開幕前の負傷で離脱していた米須玲音の戦列復帰により、篠山の負担はおそらく減るだろう。しかし、川崎の最大のキーパーソンが篠山であることに変わりはない。全盛期を迎えた男は、ここから川崎をどう導くのだろうか。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE











