30歳を超える選手の場合、リーダーシップを要求されることも多いが、それはもちろん選手個々のキャラクターによって異なる。中野自身もキャプテンシーのあるタイプとは自認していないが、年下の選手のほうが多いというチーム事情から、潤滑油のような役割も進んで請け負っているという。
「正直そういうのは苦手というか、チームメートにはイジられることのほうが多いんですけど(笑)、日本人選手で一番上なのが伊集(貴也)さんで、その手助けもしたいですし、キャプテンの内田(旦人)が僕の2個下で、チームをまとめようとして頑張ってるところを自分としても助けられたらというのはあります。中間管理職じゃないですけど、間に立って若い選手をフォローできたらいいかなと働きかけてはいます」

中野がチームを引っ張るべき理由は年齢以外にもある。2022-23シーズンにB3に参入した湘南において、中野は契約第1号選手なのだ。加えて、中野は湘南エリアに隣接する横浜市戸塚区の出身。「創設一番目という、なかなかできない経験」(中野)を地元のクラブでできたという事実は、自然とクラブへの思い入れを強くする大きな要素だ。
そして、その湘南は今、クラブとしての転機を迎えているところでもある。経営上の問題をクリアできず、来シーズンはB革新で3部にあたるB.NEXTに所属することになったが、新たなオーナー企業を迎えた運営体制変更が今シーズン開幕後の11月19日に発表され、同時に “4万人プロジェクト” と銘打って地域住民を無料招待する計画も発動。昨シーズンは約900人だった1試合平均入場者数が大幅に増加したことで、今後のB.ONEライセンス取得に向けて視界が開けてきた。クラブを取り巻く環境の大きな変化に、創設時からクラブを見てきた中野のモチベーションも今は特に高い。
「オーナー企業が代わるという経験が僕はなかったので、ちょっと戸惑った部分はあったんですけど、こうやってお客さんを連れてきていただいたり、チームをより良くするためにいろいろ働きかけてくれてるのは、このチームでやってきて良かったなと思いますね。ブースターさんが増えた会場で試合できてるのは、特に初年度からいる僕と髙木(慎哉)はやっぱり感じるものがあります。次のシーズンはB.NEXTというのが決まってしまってるんですけど、その次のシーズンでB.ONEに入れるように、みんなで一つの方向に向かっていきたいです。そのために僕たちは、勝ってお客さんを集めるということがより大事になってくると思いますし、皆さんと喜びを分かち合えるようにやっていきたいと思います」

新潟とのGAME2に敗れ、この時点で15勝21敗となったものの、8位・岐阜スゥープスまでは3ゲーム差でしかない。プレーオフの枠を争う東京ユナイテッドバスケットボールクラブや立川、金沢武士団との直接対決もまだ残されており、逆転プレーオフ進出はまだ十分に可能な状況だ。一昨シーズンの経験から「1点の重みがわかった」という中野も、「今はまだ負けが先行してしまっているんですけど、ここから1つでも多く勝っていって、最終的には2年前のような形になったとしても、1点でも多く取って、1点でも相手を抑えて、結果的にプレーオフに行ければと思います。諦めるにはまだ早いと思うので」と一昨シーズンの再現を誓う。中野が湘南というクラブに何をもたらすのか、残り16試合はその存在価値が問われる。
文・写真 吉川哲彦











