合流初戦から1カ月後の1月19日、当初はこの日までとなっていた期限付移籍期間が5月31日、すなわちシーズン終了まで延長されることが発表された。そして、2月14・15日にはTOYOTA ARENA TOKYOに佐賀を迎え撃つことになった。A東京に合流した時点で「ここにいる間は自分の持ち味を出して勝利に貢献したい。アルバルクにとってプラス材料になるように、存在感のあるプレーをしていきたい」と意気込んでいたフィーラーも、この試合スケジュールのことはもちろん把握しており、「そのタイミングでどちらのチームにいるかはわからない。自分は常に次の試合のことだけを考えて、戦う準備をする」と述べるにとどまっていたが、同一シーズンの1カードで両方のクラブから出場するという極めて珍しいケースが実現したわけである。

14日のGAME1、競った展開となった中でフィーラーは11得点5リバウンドをマークしたほか、第2クォーターには相手のワンマン速攻からのレイアップをチェイスダウンブロックするビッグプレーも披露。A東京が78-71で勝利し、フィーラーはゲームMVPに選ばれている。皮肉にも佐賀がジョシュ・ハレルソンとタナー・グローヴスを欠いて臨んだ中、翌日のGAME2も勝利を収めたA東京は、直近の17試合で13連勝を含む16勝と右肩上がりの状況だ。フィーラーが合流して以降は21勝2敗。リーグ戦も、39試合まで消化した時点で東地区2位まで順位を上げてきた。
直近の17試合には、熱戦をことごとく制して頂点に立った天皇杯ファイナルラウンドも含まれる。オンザコートのレギュレーションが変更された関係で、フィーラーはロスターに入ることはできなかったものの、宇都宮ブレックス時代のB1制覇、佐賀での1シーズン目のB2制覇と併せて日本で3つ目のタイトルとなった。
ここで押さえておきたいのが、フィーラーが来日前にもスペインとベルギー、オランダでリーグ優勝の経験を持っている事実だ。A東京に合流した際にも「どのチームのユニフォームを着ていても、自分のプレーで優勝を狙える位置にたどり着けるようにと思って全ての試合をプレーしている。優勝をサポートできるように、全力でプレーしていきたい」と語っていたフィーラーは、優勝に縁のある男。自身は「怪我人が多くて苦しい中、いろんな選手が不慣れなポジションでプレーしたりプレータイムが増えたりしていますが、みんな適応力と高いバスケットIQがあって、しっかり仕事している」とチームメートを称えるが、デイニアス・アドマイティスヘッドコーチが「決して焦らず、高いバスケットIQでプレーする選手。佐賀で対戦したときも、今日(14日)もオフェンスの状況判断が素晴らしかった」と評するフィーラーこそ、その献身性やメンタリティーにおいてチームに欠かせない存在なのである。

「天皇杯で優勝したことを本当に光栄に思います。今回はプレーしませんでしたが、良いタイミングでこういう素晴らしいチームに来て優勝に関われたのは嬉しい気持ちでいっぱいで、チームに感謝しています。自分は良い運を持っているのかもしれませんが、もっとプレーで自分を表現して、チームに1つでも多くの優勝をもたらすことができるように頑張ります」
そう語るフィーラーにはEASL優勝とB1優勝と、タイトルの可能性がまだ2つもある。“持っている男” は、ここからその真価を発揮していく。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE











