ちょうどシーズンの折り返しというタイミングで、福島は正念場を迎えている。Bリーグ発足10年目、一貫してB2で過ごしてきたクラブとしては、現行のリーグ編成で最後となるシーズンに爪痕を残したいところだろう。そのためには、ここで踏ん張れるかどうかが問われる。その中で、マルシャンHCは笠井に「ディフェンスや経験の面で素晴らしい選手。若いチームなので、彼の存在はすごく大事だと思っています」と期待を寄せ、笠井自身も「キャプテンとしてというより、ポイントガードとしてという部分が大きいんですけど」と前置きした上で、チームの立て直しを期す。

「ボールを早く回したり、オフボールでシュートの上手な選手に絡みに行ってズレを起こしてあげたりということを考えながらプレーしてきたのが自分の強みかなと思ってるので、数字じゃない部分、自分が出た時間帯にみんなが快適にプレーできるようにということは意識してます。若くて勢いはあるので、みんなのシュートタッチが良くなってくればチームとして良い雰囲気になっていくというのはすごく感じます。毎試合、自分が頑張るだけじゃなくて周りを乗せられるきっかけを作っていこうと思って戦ってますし、それぞれの特徴をもっと理解していって、そういった場面を増やせればと思います」
繰り返しになるが、笠井は昨シーズンの福島を知るただ1人の選手だ。改修によって収容人員が大幅に増えたこともあり、ホームアリーナの宝来屋ボンズアリーナは観客動員も倍増。信州に敗れた試合では5000人近くを集め、クラブ最多入場者数の記録を更新した。地域からの期待が大きくなっていることを肌で感じているからこそ、笠井は選手としてなすべきことを心得ている。
「会社として今シーズン平均4000人動員を掲げてる中で、Bプレミアに向けて勝負のシーズン。僕たちは勝つことが大事だと思いますし、勝ってるからお客さんが入ってるというのは絶対にあると思います。今日みたいにアウェーでも昨シーズンに比べてすごく多く来てくれてますし、それを感じる分、皆さんに『来て良かったな』とか『楽しかったな』とと思ってもらえるような試合をしたい。今日は負けてしまいましたけど、最後まで諦めない姿は届けなきゃいけないということも感じてますし、ファンあっての僕たちだと思うので、満足して帰ってもらえる試合を40分間通してやりたいです」

福島の大改革は、地元出身である渡邉拓馬GMの招聘から始まった。その渡邉GMを中心として編成が進められていく中、笠井だけが残留する形となった。言うに及ばず、渡邉GMは笠井が必要だと考え、笠井がその期待に応えたいと決意を新たにしたことも言うまでもない。
「次のシーズンがどうなるかという話をしていた中で、結果的には大きく入れ替わったんですけど、これだけゴッソリ入れ替えつつも『残ってほしい』という意志をすごく感じました。昨シーズンは脳震盪もあってプレーできない期間があったりもしたので、その中でそういう評価をしてくれたというのが嬉しかったですし、キャプテンもやってほしいという話をされたときに、他のチームに比べて僕はそんなにベテランという位置ではないですけど、これまでに経験したものを何かみんなに残さなきゃいけないなと思いました。拓馬さんからいろんな話をしていただいて、責任をすごく感じてるので、このチームに残ったからこそ何か良いものを残さないといけない。それがどういう形になるかはわからないですけど、みんなが自信を持ってプレーして、シーズンが終わったときに良い顔をしていられるように、試合でも試合以外でもチームのためにいろいろやっていきたいと思ってます」
福島は翌日も敗れ、横浜EXにも1ゲーム差に迫られている。ここから混沌とするであろう東地区首位戦線でいかに勝ち進んでいくか、福島にとって全ての試合が大切になっていく中で、笠井の存在価値もより大きな意味を持っていくはずだ。
文・写真 吉川哲彦











