「スターティング5に入ったことについては、もちろんモチベーションは上がったんですが、役割やルールが変わった中で、自分としてはもっと良いプレーをしないといけなかったと思います。ブレックスは比江島(慎)選手と(DJ・)ニュービル選手がいつも通りにプレーし、竹内(公輔)選手もいつもと同じ役割をやり続けていた。自分は普段と役割が変わりましたが、それでも今日はダウム選手がいるときのような存在感を出さなければいけなかった」
余談だが、対戦相手のアイザック・フォトゥについて「自分は13歳くらいのときからずっと彼を見に行っていた。ハワイ大学のスーパースターだったから、今日の試合を本当に楽しみにしていた」とのこと。その分、悔しさがより募ったというのもあったのかもしれない。

天皇杯は2回戦で去ることとなったものの、リーグ戦での信州は目下絶好調と言っていい。11月には4連敗もありながら、その直後から連勝がスタート。天皇杯直前の第16節は東地区首位の福島ファイヤーボンズを破り、連勝が14にまで伸びただけでなく、福島に1ゲーム差に迫っている。ここからは地区優勝も視界に入ってくる段階だが、渡邉は故障者が多い現実をふまえて気を引き締める。
「今14連勝している中でも、ダウム選手と土家選手が抜けていて、他の選手がステップアップする必要があると思います。でも、彼らにとってはチャンスでもある。その中で今日の負けは、B1のチャンピオンチームと自分たちにどれだけ差があるのかということをハッキリと思い知らされたということだと思う。少しの休みの期間に今日の試合をしっかり振り返って、連勝を続けるために日々成長していかないといけないと思います」
ここからB2優勝を目指していく上では、渡邉の存在が大きなカギを握る。日本代表という肩書には、必然的に周囲からの期待も大きくなるというもの。2024年のパリオリンピック、フランス戦の1点を争う場面でNBA選手のルディー・ゴベアのダンクをブロックしたスーパープレーは、多くのファンが鮮明に覚えているだろう。そんな高い能力の持ち主であれば、チームを引っ張るのは自分だという自覚も持っていそうだが、渡邉は「その自覚は自分だけでなくチームの全員にあると思います」と言いきる。そして、「もし全員がヘルシーだったら、宇都宮、長崎(ヴェルカ)、千葉(ジェッツ)、琉球(ゴールデンキングス)、どのチームも倒すことができる」と自信も携えている。

「日本代表であることはあまり気にしていないし、勝つことだけに集中しています。それがプロとしての仕事だと思うので、周りが期待しているかどうかも気にならないし、それは僕の仕事ではない(笑)」
個人よりもチームにフォーカスする渡邉にあるのは勝利を追求する姿勢、その一点だ。目指す選手像、チームにとってどのような存在でありたいかを問うと、渡邉は一言、「チームに勝利を届けられる選手になりたい。それが自分の役割です」とだけ語った。そのブレない意志で信州をB2制覇に導くことができるか、シーズン後半の渡邉にはさらに要注目だ。
文・写真 吉川哲彦











