若い頃からバスケットをしたくてたまらなかった宮田GMは、「朝起きると『引退しよう』と毎日思ってる」と現実を直視しながら「でも、少年・宮田がそれを止めるんですよね（笑）」と心中でせめぎ合う日々を送っているが、強化責任者の立場としては、今がある意味最も大事な時期。揺れ動く心情は一旦脇に置き、チームにとって最良の策は何なのかと思いを巡らせているところでもある。

「特に今の時期は特別指定選手の話を大学の先生としてますし、怪我人もいるのでテコ入れしないといけないんじゃないかというのはいろんな人から言われるので。でも、これは僕の性格かもしれないですけど、人を入れて解決するというのがあまり得意じゃなくて、上手くいってないときに誰かを入れて上手くいくかというと、人間はそんなに簡単じゃない。今いる選手にとってプラスになる補強はしたいと思いますけど、上手くいってないからといって安易に誰かを入れてしまうと、今いる選手が否定されたような気になってしまう。今のメンバーのモチベーションとインテンシティーが上がらない限りは、何をやっても上手くいかないと思います。もちろん勝ちにいくためにベストを尽くすんですけど、人をどうするかというところはGMとして悩ましいですね。良くないのはわかってるんですけど、選手目線に立ってしまうし、選手たちのことが好きなので『こいつらまだできるだろ』って思っちゃうんですよ。だから、GMには向いてないんですよ（笑）」

そんなGMとしての仕事も、サポートスタッフとしてベンチに入ったことも、チームの勝利のため。それを最優先している宮田GMは、自身がプレーできるかどうかを後回しにし、今できること、なすべきことに全神経を集中させる。レギュラーシーズンはまだ3分の1を過ぎたところ。ここから東京Uが挽回していけるかどうか、そのカギは宮田GMが握っている。

「チームがプレーオフに出ることが全て。出られなかったら僕がコートに立つ資格もないし、1試合でも多くこのメンバーでやれるように、勝率的に可能性がある限りは追いかけないといけない。僕はヘッドコーチじゃないので全てを決めることはできないですけど、できることはまだまだたくさんあるんです。わかりやすいもので、勝ってるとたくさんの人が見に来てくれるけど、負けるとなかなか来なくなる。これがプロの世界だなと思うし、選手たちもそうだと思うんですけど、有明で楽しかったはずの時間が減ってるのは嫌だなと思うので、応援してくれる皆さんのためにも勝ちたいです」

文・写真　吉川哲彦