全体を俯瞰しながらチームを編成するGMとしての立場に加え、長年選手として第一線に立ってきた経験も生かした分析だが、そもそも宮田GMはまだ現役の選手だ。6月にクラブから契約満了のリリースが出た際も、“引退” というワードは一切使われていない。山口とのGAME1の前日、クラブは宮田GMのサポートスタッフ就任と同時に、選手契約合意も発表。これは、主に外国籍選手や帰化選手が怪我を負った場合の備えとして、他の選手をスタッフとして迎え入れる “抜け道” をリーグが禁じたことが背景にある。

「半月板を怪我したのが去年の12月29日だったかな。本当は昨シーズンのうちにゲームに出て引退したいと思ってたんですよ。保存療法でリハビリして、なんとか最後にコートに立てたらいいなと思ってたんですけど、リハビリが進んでいくうちに『こりゃ無理だな』と判断して、検査もしたんですけど結局開けないとわからなかったんです。そうこうしてたらプレーオフに負けてシーズンが終わって、引退とは書かずに契約満了のリリースを出して6月にオペをしたら、複合断裂という面白いことになってて(笑)。日常に戻れるようにドクターが結構な大手術をしてくださって、引退して余生を過ごそうと思ってたんですけど、引退を口にするのが嫌で……TUBCじゃないかもしれないし、もしかしたらアマチュアかもしれないけど、どこかでコートに立ちたいと思ってやってるのが今。TUBCの選手としてプロのコートに立てると思って選手登録したわけじゃないんです。
ただ、ベンチに入って少しでもエネルギーを出したいと思ったときに、スタッフ登録から入ると選手契約ができない。その可能性はほぼないだろうなと思ってるんですけど、自分でそれをゼロにするのもどうかなと思ってこういう形にしました。だから、選手としての道筋が見えてきたということではないですし、果てしなく遠い。スタッフとして仕事しないといかんかなと思って、それが一番ですね」
現在もリハビリは進行中で、本人曰く「練習に参加できるレベルでは全然ない」ということだが、「10月後半くらいからボールに触れるようになって、シュートを打ち始めたらやりたくなっちゃって、我慢できなくてヤバいなって思ってます」と言葉を続けた。

「入院して歩けなくて、トイレに行くのも命がけだったときは『もう引退でいいや』と思ってたんですけど、普通に歩けるようになって3カ月後くらいには階段を上れるようにもなって、4カ月後にボールに触れるようになったらもうやりたくなった(笑)。人間は欲深いですよね。ただ、今のチーム状況でバスケットやりたいとも言えないですし、ファンの皆さんとか苦しんでる選手・スタッフを見てると、やることは他にもたくさんある。コーチ陣も若い中で、僕がバスケットしたいという姿勢を出すと良くないかなと思うんで……難しいですね。今日もベンチに入って楽しかったんですけどね」











