昨シーズンはB2昇格こそ逃したものの、3位決定戦まで進み、クラブ再建の道のりを1歩進んだ新潟アルビレックスBB。今シーズンは開幕4連敗というまさかのスタートだったが、第3節から第8節までは10勝2敗と白星を伸ばし、5位と好位置につけている。
チームは外国籍選手3人が総入れ替えとなり、日本人選手も3人が加入。新戦力の働きが好調の要因の一つとなっていることは確かだ。その1人が長谷川智伸。第9節、11月20・21日のアースフレンズ東京Z戦ではGAME1が1得点、GAME2が2得点だったが、GAME1は20分46秒もの間コートに立ち、GAME2は10分49秒出場にとどまりながらも5リバウンドという数字を残している。チームはやや苦しみながらも連勝し、長谷川もそれに貢献したと言って差し支えないだろう。

長谷川はシューターとしてB1の舞台でも活躍してきたが、35歳になった今の長谷川の存在価値は、数字に表れにくい部分にこそある。鵜澤潤ヘッドコーチの長谷川評も、その点を強調したものだ。
「いろんなチームを渡り歩いてきた経験を、若い選手に落とし込んでくれているなと思います。オンコートでもオフコートでも良いコミュニケーションを取ってくれて、上の世代と下の世代のパイプ役になっている。あと、ベテランが献身的にルーズボールに飛び込んだり、ディフェンスでハードにプレッシャーをかけるところを、若い選手が見て引っ張られてるという良い傾向があるので、彼はシュートだけじゃなくてディフェンスやコミュニケーション、準備の部分で良い影響をもたらしてくれていて、チームにとって大きなピースになっている実感があります。彼が入ったことによって歯車がかみ合ってきてるというのは感じますね」
もちろん、長谷川自身もベテランと呼ばれる年齢になり、数字に残らない面での貢献やチームファーストの行動は強く意識するところだ。昨シーズンまで在籍していた福井ブローウィンズでB3も経験済み。これまでに積んできた様々な経験をいかにチームに還元するか、そしてそれがどれほどプラスになるかということを理解している。
「日本人選手もそうですし、外国籍選手もジャンピ(ムトンボ ジャンピエール)を含めてまだ若いので、彼らに教えつつ自分が良い見本となって、もっとフィジカルにやる部分とか、コーチ陣から言われたことを遂行するところを見せていって、底上げしていくことが必要だなと思います。
B3の感じはわかってたんですけど、全体的にB1やB2とは違ったバスケットをする選手やチームが多い中で、新潟でもしっかりチームメートにコミットして会話して、試合だけではなく日頃の練習やプライベートの部分の姿勢でも見本になれればと思ってます」
東京Zに連勝したとはいえ、得点が外国籍選手に偏る傾向が強い相手であることを認識していながらも、GAME2の後半20分間を除くと相手の外国籍選手をゲームプラン通りに守れたとは言い難いところもあった。「今日(21日)の後半は遂行できたのかなと思うんですけど、まだクォリティーは低い。チームとしてもっと高めていかなきゃいけない」と気を引き締める長谷川の存在価値は、より重要なものになっていくだろう。

長谷川の新潟移籍が発表されたのは8月14日、チーム合流も8月末と遅かった。福井を退団した後、移籍先が決まらなかった長谷川に新潟が声をかけたのは、ルーキーとして入った三菱電機(現・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)で3シーズンチームメートだった五十嵐圭が大きく関わっていた。今シーズンから社長補佐兼強化部長補佐という肩書も背負っている五十嵐曰く、「まだまだプレーできると思ってましたし、お互いに三菱を出て以降もプライベートでよく連絡を取っていて、なんとか彼の力になってあげたいなと思っていた」とのこと。長谷川は、プレーする場を与えてくれたことに感謝の念が尽きない。











