「2シーズンですごく成長して可能性に満ちたチームですし、名前にある通り一生懸命チームで頑張るというのがあって、そこは私も大事にしているところなので、チャレンジャーとして泥臭く1つの勝利、1つの目標に向かっていくこと、細かい戦術以前にチーム力、一体感を大事にしてチームを作っています。そこを選手たちが理解してくれて、良い雰囲気と良いエネルギーがありますし、まだまだ良くなると思います。新しいチームでのチャレンジですけど、中務選手や岐阜から来た3名が手助けしてくれて、他の選手も一生懸命やってくれてるので、私もコーチングに苦労しないというか、選手同士も含めて関係が上手くいってるんじゃないかと思います。
その中で、中務選手はメンターとして、期待通りのリーダーシップを発揮してくれてます。コートの中でも外でも良いエネルギーがあふれてて、周りの選手にも良い影響がありますし、人数の関係でベンチから外れることがあってもチームのために戦ってくれて、その姿があるからこそ今チームが一つになっている。もちろん、プレータイムを勝ち取ることも覚悟を持ってやってくれていて、チームに良い緊張感が生まれてるので、コーチとして助けられてます」

長いシーズンには必ずと言っていいほど浮き沈みがある。スタートダッシュを切ることはできても、それがシーズンの最後まで続くとは限らないのだが、シーズン終盤には40歳になる中務はそれも重々承知だ。
「ここから怪我人が出ることもありますし、今はシュートが入ってるからいいですけど、そこの波も絶対にあるので、誰かが落ちてきたら他の誰かがステップアップする、全員で頑張るバスケットの感覚をシーズンを通して楽しめたらと思います。こういう戦い方が優勝するチームの強さだよということを若い選手たちに共有できたら、僕が来た意味もあるのかなと思いますね」
コンディションに問題はなく、中務自身も「体はキレッキレです!」と声を大にするほどだが、現状では4試合の出場にとどまっており、東京Uとの2試合はベンチ登録からも外れている。しかし、今シーズン初めて3ポイントを成功させてベンチに戻ってきた松本礼太を満面の笑みでハグするなど、チームメートの活躍を喜ぶ場面も多々あった。チームを第一に考え、「今日までシュートが入っていなかった選手がシュートを決めて、全員がそれを喜ぶ。そういう自分たちの文化も体現できた」と言及するのは、ベテランと呼ばれる選手ならではだ。

「逆に言うと、僕が仕事をする場所がないくらい、みんなが頑張ってくれている。それでいいと思います。引退撤回してまで来てるので、試合に出たい気持ちとの兼ね合いはあるんですけど、同じくらいの実力だったら若くて今後のある選手が出たほうがチームにとっても良いと思うし、そこは自分でうまく処理しながら次の準備をしていけばいいと思ってます。名古屋でもそうやってきたので」
周囲から見れば、そういう姿勢にこそ中務の存在価値がある。たとえ試合に出ていなくても、経験値のある選手にはできることも多く、若手に手本を見せるということは、今シーズンの徳島では中務にしかできない。本人が「いや、何もしてないですよ(笑)」と言っても、その影響力は必ずある。



 
    








